CSRを推進する企業にとって、社会課題やその背景に精通し地域に根差した取組みを進めているNPOやNGOは、単なる"ステークホルダー"であるだけではなく、"重要なパートナー"として認識されつつあります。
企業から見たNPO/NGOのこれまでのイメージは、国内では「純粋な慈善団体」、海外では「過激な活動家」であったのではないでしょうか。日本では、そもそもどのような団体があり、どの地域でどのような活動を行っているかについて十分に理解がなされていない状況ではないか思います。ところが、最近、この状況に変化の兆しが見えてきました。
NPO/NGOとの対話を通じて社会課題への対応方法を検討したり、NPO/NGOに事業を委託したり、また、協働したりする企業が徐々に増えてきているのです。資金支援も、商品の売上の一部を寄付するコーズ・リレーディッド・マーケティング(CRM)や、従業員がお給料の一部を寄付する従業員参画型寄付など、企業のイメージや評価の向上が期待でき、かつ、NPO/NGOの活動の認知向上が可能な連携事例が増えてきています。2011年3月11日に発生した東日本大震災に対する募金では、寄付付き商品を販売する企業が相次いでおり、今後も増える見通しです。
NPO/NGOは、特定の社会課題やその背景を熟知した市民団体であり、企業にとっては、さまざまな社会課題を共に解決できる良きパートナーです。しかし、強固な運営基盤を有している団体ばかりではないため、「連携の効果をわかってはいるものの、一歩足が踏み出せない」「他社が連携している信用できそうな団体への支援に留まっている」といった企業が多いのではないでしょうか。NPO/NGOとの良きパートナーシップを構築するためには、企業とNPO/NGOの双方の歩み寄りと中・長期の視点が必要です。具体的には、①~③の通りです。
①互いの理念・ミッションの共有と実現可能性を考慮すること
②企業の豊かな資源とNPO/NGOの社会課題に対する深い知識をうまく活用すること
③根本的な解決を目指し、中・長期的に連携すること
田中計士
新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー
2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/
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