皆さんこんにちは。公認会計士の田中です。今回は、「包括利益」というものについて解説したいと思います。

 企業の業績の主な指標として皆さんが思い浮かべるものとして、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益などがあるかと思います。一方で、「包括利益」というのは聞きなれない言葉だと思います。実は平成23年3月期の決算から、上場企業各社は「包括利益」という新しい概念の利益についても情報開示することになったのです。

 営業利益は本業による利益、経常利益は金利などの要素を加味した利益、当期純利益は災害損失等の突発的な損益も加味した利益を言います。当期純利益が当期の全ての要素を加味した後の利益なのですが、これには保有している有価証券の時価変動による含み損益の動きや、海外子会社における保有財産の為替変動による価値の変動などは加味されないものとなっています。

 少しわかりにくいかもしれませんが、例えば皆さんが株式投資をしていた場合、投資後に株価が下がってしまう場合も多々ありますよね。そういった時、「売らずに長期間塩漬けしている限りは損ではない」という気持ちを表現したものが当期純利益で、「塩漬けしているとはいえ、それも含めて損は損だ」という気持ちを表現したものが包括利益、となります。つまり、保有資産の含み損益の動きまで数値化してしまうのが包括利益ということになります。

 平成23年3月期決算での化粧品業界主要3社について、当期純利益と包括利益の違いを見てみますと、図表1のようになります。

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田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/

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