第27回 IFRSを見据えた決算期の統一

 初めまして。公認会計士の山藤大と申します。今回より、我々新日本有限責任監査法人のコラムを担当させて頂くことになりました。どうぞ宜しくお願い致します。

 今回は、有価証券報告書の注記よりIFRSを見据えた決算期の統一についてご紹介したいと思います。

 現在、日本におけるIFRSの適用時期の検討については棚上げとなっていますが、将来の導入を見据えて既に対応を行なう企業も増えています。

 その対応の一つが親会社と子会社の決算期の統一です。

 投資家に対する決算情報の開示は連結財務諸表ベースとなっており、この連結財務諸表とは、連結グループ内の各会社の売上高や利益、資産や負債を合算して作成されるものです。こういった経緯から連結財務諸表作成上、原則として連結グループを構成する親会社と子会社の財務諸表は、親会社の決算日時点での同一報告期間について作成する必要があります。

 しかし、日本の親会社は3月決算が多いのに対し、海外子会社は12月決算などが多く、必ずしも決算日が一致しないのが現状です。このように親会社と子会社の決算日が3カ月も違う場合は、連結財務諸表作成上どのように処理されているのでしょうか。

 実は、「3カ月ズレたまま」連結されているのです。といっても、何の調整もせずにやみくもに連結しているわけではありません。先ほど述べたように、連結グループを構成する子会社の決算日は全て親会社に合わせるのが原則ですから、親会社の決算日と違う場合は、親会社の決算日時点の財務諸表を作成した上で連結財務諸表を作成します。

 しかし、これは本来の決算期末の他にも煩雑な決算作業を再度行なうことに他ならず、実務上大変な手間がかかります。こうした事情に対する配慮か、「連結財務諸表原則」では、親会社と子会社の決算日の差異が3カ月以下の場合には、子会社の決算日における決算を基に、決算日の違いにより発生する親子会社間の取引のズレを調整した上で、連結財務諸表を作成してもよいという但し書きの条文があります。子会社での再度の決算作業という実務上の大変な手間を考慮し、多くの日本企業がこの但し書きにより連結財務諸表を作成しています。

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田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/

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