連載コラム

消費者視点の「買われ方・選ばれ方」

2017.04.13

第1回 カウンセリング型売り場とセルフ型売り場の比較

執筆者:野澤 太郎 (株)ネオマーケティング ビューティ&ライフチーム マネージャー

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【C&T2017年1月号38面にて掲載】

はじめに

 昨年末に発表された@cosmeの「ベストコスメアワード」で、アディクションの「ザ アイシャドウ」が総合大賞受賞商品となった。前年はイヴ・サンローラン・ボーテの「ルージュ ヴォリュプテ シャイン」が受賞したため、2年連続して百貨店・専門店系の商品が総合大賞に輝いたことになり、各賞のランキングでも、プチプラコスメを抑えて百貨店・専門店系の商品の躍進が見られた。

 では一体、一般の消費者はどのようにして化粧品売り場を選んでいるのだろうか。

 そこで今回、総合マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングとマーケティングサイエンスの株式会社コレクシアは、カウンセリング型とセルフ型の化粧品売り場の選定に関する共同調査を実施した。

 調査の概要は以下の通りである。

調査方法:Webアンケート方式で実施
調査の対象:1都3県の直近2カ月以内にベースメイクを購入した20代~60代の女性
有効回答数:200名(カウンセリングをうけて購入した方、セルフ型の売り場で購入した方各100名)
調査実施日:2016年11月16日(水)
※調査結果はサイトから配布を行っている。1)

チャネルによるユーザーの違い

 カウンセリング型のユーザーとセルフ型のユーザーでは何か属性が異なるのであろうか。

 今回は年代による割り付けは行っていないが、年代による大きな偏りは見られず、肌の悩みに関する回答でも大きな違いは見られない。

 しかし、直近購入したブランドをどの程度利用しているのかを尋ねたところ、カウンセリング型のユーザーは41%が5年以上と回答し、セルフ型の29%と異なり、ブランドへのロイヤリティの高さがうかがえる結果となった(図1)。

(図1 ブランドのロイヤリティ)

 それでは、消費者の意識の部分ではどのような違いが見られるのであろうか。調査結果から作成した消費者行動モデルから読み解いていきたい。

消費者行動モデル

 まずはじめに、消費者行動について調査を進めていくと、現在の肌の悩みや化粧品に対するニーズを言語化できるかどうかが、カウンセリング型とセルフ型に最初に分岐するポイントになっていることがわかった(図2)。


(図2 消費者行動モデル)


 今回の分析ではカウンセリング型のユーザーは「手段的志向型」2)の行動類型に当てはまる人が多くみられた。手段的志向型の特徴は、商品を選ぶ際にいつも買っているからといった習慣的な動機ではなく、何らかの目的を達成するのに必要な手段として商品を選ぶ特徴がある。

 カウンセリング型のユーザーは、「肌の悩みを解決するために必要」「自分の肌の色に似合うものが知りたい」「自分の肌の状態が知りたい」などの目的を達成する化粧品が必要と考えることが動機にあるため、言語化が行えているものと推測できる。

 また、セルフ型のユーザーに対してカウンセリング型の売り場に対する印象を聞いたところ、「押しつけがましい」(46%)、「疲れる」(40%)、「圧迫感がある」(38%)といった項目が上位を占めており、セルフ型のユーザーにとって、カウンセリング型の売り場への訪問は心理的な障壁が高いことがうかがえる(図3)。

(図3 カウンセリング売り場の印象)

 では現在、「肌の悩みの状態を言語化できない」セルフ型のユーザーを、カウンセリング型の売り場に呼ぶために一般消費者に対してどのような施策が考えられるだろうか。

 言語化できないとは、「カウンセラーとのコミュニケーションに自信がない」と読み替えることもできるだろう。

 そのようなユーザーに対しては、カウンセリングで語るべき言語表現を教えてあげることが重要だと思われる。

 「ニキビができやすく、ベタつきやすいあなたは『脂性肌』かも!? カウンセラーに『脂性肌を抑えたい』と相談してみましょう」といったように、カウンセラーに何と言ってコミュニケーションをすればよいかというレベルまで具体化したコミュニケーションメッセージを伝えることにより、言語表現の学習とカウンセリング売り場への誘導を同時に果たすことができるのではないか。

 また、セルフ型のユーザーの中にも「本当はカウンセリング売り場に行きたいが仕方なく行くのを控えている」というタイプがいることも興味深い結果となった。

 今回の調査では「産後の肌の状態を本当はじっくり美容部員に相談したいが、赤ちゃん連れのためにそうもいかない」というインサイトが見られた。

 このようなタイプはそれまではカウンセリング型のユーザーであったことが推察されるため、担当者としては是が非でも流出を食い止めたいタイプではないだろうか。

流出施策について

 子育て層が落ちついてショッピングや食事ができるように百貨店・ショッピングモールなどではキッズルームなどを設置しているところが増えているが、化粧品売り場でも同様な施策などが必要になってきているのかもしれない。

 スペースなどの制限がある場合は、カウンセリングの事前予約などで混雑を避けることができることを伝えるだけで、流出の可能性をおさえる可能性も考えられる。

おわりに

 今回はカウンセリング型とセルフ型というチャネル別で消費者行動分析を行ったが、同じチャネルでもアイテムや価格帯、ブランドなどによって大きく異なる可能性が考えられる。

 また、今後オムニチャネル化などが進むと単純な分類は難しいことが考えられるため、より消費者の行動や意識を把握する必要性が高まるのではないだろうか。

参考文献
1)資料請求
2)「消費者行動図鑑 手段的志向型」
■ 「カスタマージャーニー NAVI」

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プロフィール

執筆者:野澤 太郎 (株)ネオマーケティング ビューティ&ライフチーム マネージャー

2000年設立の総合マーケティング支援会社。 設立当初より、マーケティングリサーチ事業を展開し、定量/定性等、あらゆる手法を用い様々な業界に向けてソリューションを展開。 「ビューティ&ライフチーム」は同社内に新設されたコスメやスキンケア、ヘアケア、フェイス&ボディケア等の美容関連の製品/サービス向けに特化した専門チーム。 上記領域におけるマーケティングソリューションを集約し、より顧客視点でのサービス開発を行っている。

https://www.i-research.jp/beauty-and-life/

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