第5回 インバウンドの落とし穴! 中国の冒認商標出願に注意

【週刊粧業2016年1月11日号4面にて掲載】

 化粧品業界はインバウンド消費の恩恵を受けている業界の代表であり、各社積極的にインバウンド需要を取り込もうとしています。一方、そのような動きには落とし穴もありますので、以下で注意点と対策をお伝えします。

 インバウンド消費の中心的な担い手である中国の消費者は、事前にインターネット等で化粧品のクチコミ、評判をしっかり調査した上で買うものをリストアップする傾向があると言います。そうした傾向を踏まえ、マーケティング予算が豊富な大手企業を中心として中国語対応の情報コンテンツを準備し、インバウンド需要を取り込む工夫をしています。

 それ自体は素晴らしいことですし、コンテンツマーケティングの工夫次第で中小企業も大きな成功のチャンスを掴める余地があると言えます。しかし、中国向けにプロモーションをかけたり情報発信をすることは、すなわち、自社の商標を盗用リスクにさらすということでもあるのです。

 たとえば、中国向けに情報発信をして、訪日観光客向けの売上げが増加し、いざ中国向け輸出を開始しようとしたとします。それに先立ち中国において商標を取ろうとしたら、既に第三者が貴社商標を出願又は登録してしまっているかもしれません。このような第三者による商標の先取り出願を冒認出願と言い、特に中国・韓国・台湾など東アジアの国々におけるリスクが大きいです。

 日本における商標登録を後回しにしておくともっと厄介なことになります。実際に売り上げも立ちいざ日本で出願しようとしたら、既に第三者によって登録されており、日本における自社商標の使用が商標権侵害となってしまうことすら考えられます。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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