メイクセラピーShin.Shin、養護教諭から"メイクセラピスト"へ

カンタンに言うと

メイクセラピーShin.Shin、養護教諭から

「福祉」「医療」「教育」との連携に意欲

 メイクセラピーShin.Shin (神戸市) は、 関西地方で高齢者施設を中心に、 障害者施設や医療機関、 さらには地方自治体が主催するイベントなどに出向き、 メークボランティア活動を行っている。

 代表の酒造志保 (みき しほ) さんが、 同団体を立ち上げたのは2006年。 化粧を通じて 「心身」 ともに元気にしたいという願いを込めて命名した。 ボランティア活動と並行して、 メイクセラピー講座やメイクセラピストの養成スクールも開講。 受講生が自主的にグループを立ち上げる動きが活発化するなど、 活動は広がりをみせている。

 酒造さんが 「化粧」 に魅了されるきっかけとなったのは、 阪神大震災だった。 当時、 障害児が集まる特別支援学級の養護教諭をしていた酒造さんは、 勤務していた小学校が周辺住民の避難所となったことから、 看護師資格を活かして避難住民の支援に奔走した。

 そこで、 「鬱の女性と出会った」。 声すらかけられないほど深刻な心理状態だった彼女に、 口紅を塗った。 女性が鏡を見たときの 「ぱっと明るくなった表情」 が、 今でも目に焼き付いている。 「化粧には、 何かある」 と、 心を動かされた。

 その後は、 教諭を続けながら週末に専門学校などでメイクセラピーについて学ぶ日々。 個人でのメイクボランティアもこの時期に始めた。 そして40歳になった2003年、 「1つの区切り」 をつける。 「 (ボランティア活動で) この人たちを元気にするのは自分しかいない」 と、 教諭を辞めることを決意した。

 ボランティア活動は、 「化粧には本人だけでなく、 周りの人にも喜びを与える力がある」 ことを学ばせてくれた。 キレイになった姿を見て家族が喜び、 家族が喜ぶ姿を見て本人が喜ぶ。 そして、 それを見届ける酒造さんは 「その数倍も嬉しい」。 笑顔の連鎖が絶えないのだ。

 地道な活動が周囲に知れ渡り、 施設側からのオファーは増えた。 期待に応えるためにも、 現在は現場を踏む傍ら、 メイクセラピストの育成にも力を入れている。 メイク講座や養成スクール、 講演活動の中心は関西だが、 「将来的には東京でも開催していきたい」 と意欲的だ。

 また、 「福祉・医療・教育分野にメイクセラピーを取り入れたい」 という目標もある。 このため、 メイクによる心理的効果を実証するための研究論文を執筆する作業も続けていくという。

  「おしゃれな人は元気」。 酒造さんの格言だ。 高齢化はますます進む。 「元気な世の中を作っていくためにも、 この活動は絶対に終わらせたくない」。

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