化粧品・医薬部外品原料メーカーのJTS(本社=大阪市)はこのほど、2剤型の毛髪セット処理剤(化粧品用カール剤)に使用できるタンニン酸を開発した。
タンニン酸は、植物界に広く存在するポリフェノールで、人体に対する安全性が高く、不快な臭いもないため、食品添加物にも多用されているが、毛髪にダメージを与えずにウェーブ形成を実現する新規原料として提案を開始している。
毛髪は、アミノ酸の一種であるシスチン同士の分子間を化学的に結合させて網状構造をつくる架橋によってコシを保っているため、カールやウェーブといったパーマの形成時には、1剤によりシスチン結合(架橋)を一時的に切断して髪を軟化させ、2剤を用いて再び架橋を結合することで実現する。
現在、主流となっている熱を加えないコールドパーマ方式では、1剤にメルカプタン系の還元剤を用いてシスチン結合を切断し、2剤に強い酸化作用のある酸化剤を使ってウェーブ形成を行っている。
今回、同社が開発したタンニン酸はその架橋能力が強く、2剤に用いられる酸化剤の代わりに使用できることが確認されたという。
従来の酸化剤を使用した毛髪セット処理剤との毛束、人頭を使った比較試験では、酸化剤使用時と同等以上のウェーブを形成し、経時データでもしっかりとウェーブを保持していることが確認された。また被験者からは、施術時の不快臭や毛髪のごわつきを感じないといった評価が得られている。
同社は、これらの試験結果を受けて「毛髪セット処理剤分野において新風を送り込み、同分野の発展に寄与する原料になり得る」と期待を寄せる。
※写真は、通常のパーマ(左)と同社が開発したタンニンで酸化したパーマ(右)の比較
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