日用雑貨卸売業の最新動向|店頭活性化を推進する一方、市場縮小への対応が課題に

週刊粧業 2012年9月10日号 1ページ

カンタンに言うと

日用雑貨卸売業の最新動向|店頭活性化を推進する一方、市場縮小への対応が課題に

 日用雑貨卸売業(日雑卸)各社には、東日本大震災後の消費者の購買行動の変化に目を光らせつつ、同時に国内市場の中長期的な縮小傾向や、海外に進出する小売業やメーカーの後方支援といったところにも目配せすることが求められている。そこで今回は、時代を先読みし、様々な対策を講じている卸企業4社(Paltac、井田両国堂、麻友、大木)の取り組みをクローズアップし、次世代の卸売業のあるべき姿に迫ってみた。(執筆者=本紙編集長 加藤英俊)

日雑卸最大手のPaltac、国内外の動向注視し機能強化はかる

 日雑卸最大手のPaltacは、長期的視点に立つと現在はビジネスモデルの変革期と位置づけており、「安心・安全の物流サービス機能強化」「店頭起点、店頭重視の営業活動」などに努めている。

 「安心・安全の物流サービス機能強化」に向けては、20億円を投じて全国13カ所の主要センター(免震構造のRDC中部を除く)に非常用自家発電装置を設置した。

 「店頭起点、店頭重視の営業活動」としては、NB商品の掘り起こしや企画提案、流通限定品(約400SKU)の開発など商品提案力を磨き上げるとともに、企業ごとのニーズに対応した店頭サポートも行う。

 一方で、「ソリューション機能の強化」「効率化・ムダの削減への貢献」「グローバル化への対応」など、小売業の今後の動向を見据えた対策も着々と行っている。

 「ソリューション機能の強化」に向けては、高品質・ローコストの物流体制をさらに進化するとともに、業態別・店舗形態別・商圏別などH&BCフルラインの商品提案力を強化している。

 「効率化・ムダの削減への貢献」に向けては、拠点統合による配送効率化や廃棄段ボールのリサイクル処理などにも取り組んでいる。

 「グローバル化への対応」では、中国市場に活路を求めたい中小メーカーが増えニーズも高まっているため、長發豊源と業務提携し、中国への輸出をサポートできる体制をすでに構築している。

化粧品卸最大手の井田両国堂、シニア対応のMD提案を積極推進

 化粧品卸最大手の井田両国堂は、ここ数年、化粧品市場が伸び悩む中、目的や用途、季節やトレンドに基づいて商品群を構成する「プロジェクト陳列」など他社優位性を発揮できる機能をベースに高い伸び率で推移してきたが、震災後の消費者購買行動が「余計なものは買わない」「品質さえ良ければ安いものでいい」といった方向にシフトしており、「メークアップをはじめ全般的に押し並べて良くない。背景には、個数増・単価減の影響もある」(井田隆雄社長)と現状を分析する。

 事実、国内化粧品市場は、単価ダウンが続くなど、決して先行きが明るいとは言えない。このため、昨年度に引き続き今年度も、「エクセレントエイジ」と銘打ち、シニア対応のMD提案を強化している。

 同社の熱の入れ具合は、「今後、人口の増加が期待できるのはシニア層しかない。数年かかるかもしれないが、全社を挙げてシニアMD対策に取り組んでいく」という言葉からも伝わってくる。

 シニアMD提案をすでに実施している売場では、ある程度のスペースを受け持ち、シニア層のニーズを満たすような小間物類や健康関連グッズ、保湿スキンケアやベースメークを充実させるなどの工夫を凝らす。これにより、来店客の興味・関心を惹くことが徐々にできつつあるという。

 シニアMD提案でも、売れ筋動向をもとに月ごとに売場を改変したり、2週に1度「プロジェクト陳列」の見直しを行ってきた従来の経験は大いに生かされているという。

 裏を返せば、いかに時代が変化し、いかに客層が変わろうとも、「品揃えに変化を持たせ、絶えず鮮度を高めつつ、関連アイテムを合わせて提案することが、客数や客単価のアップには欠かせない」(井田社長)というところに行きつく。

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