ダイセルグループ、原料からパッケージまで高機能製品を総合的に提案

カンタンに言うと

ダイセルグループ、原料からパッケージまで高機能製品を総合的に提案

 ダイセルグループは、「安全安心、CO2削減、環境対応、塗る、落とす、包む」をキーワードに、環境に配慮した容器から植物由来成分、バイオ合成技術による機能性素材を製造し、処方提案も行っている。液晶用光学フィルムで使用される原料のシェアでは世界トップ、ポリエステル繊維、煙草用フィルター、自動車用エアバッグにおいても国内トップシェアを誇る。

 化粧品業界にもその幅を広げ、原料素材の開発からパッケージ提案といった「ウチ側」と「ソト側」へトータル的に製品を提供する。また、動物試験の代替となる安全性評価を一部で実施するなど、新たな取り組みも行っている。今回の「CITE Japan 2013」では、ダイセル、ダイセルファインケム、ダイセル・エボニック、ダイセルパックシステムズがそれぞれの技術を駆使した素材を紹介する。

化粧品用途に初提案の
植物由来原料に注目集まる

 ダイセルは、安全性が高くたんぱく変性作用が極めて低いポリグリセリン系界面活性剤「セルモリス」シリーズと、現在注目を集めている大豆イソフラボンの一種・エクオールを食品・化粧品業界向けに開発した機能性素材「フラボセル」を中心に提案する。フラボセルは、体内で摂取すると抗酸化、美白、シワ軽減などに機能するといい、健康食品として素材提供を行っていた。今回、試験によって皮膚に対するメラニン産生抑制、脂肪細胞質におけるコラーゲン産生促進機能が確認され、同社が有するバイオ合成技術を応用し、化粧品への本格提案を始めた。

 「将来的には処方提案からバルク供給まで可能にしたいと考えている。一部安全性評価なども行い、化粧品業界に対してマルチに対応したい」(前田克幸 有機合成カンパニー化学品マーケティング部2部部長代理)

 ダイセルファインケムは、植物繊維を原料とする水溶性高分子「CECダイセル」「HECダイセル」が、好調に実績を伸ばしている。増粘安定剤として、ハミガキやヘアトリートメント、スキンケア製品などに採用されている。

 展示会ではこれらに加え、化粧品用途としては初めて「セリッシュ」を紹介する。同製品は、高度技術で精製した植物繊維を由来とし、化学的な合成処理は一切使わず特殊な物理処理を加えてミクロフィブリル化したセルロースナノファイバーだ。セルロースの基本特性を損なわずに微細化されているため、高付加価値品の開発に最適だ。熱に強く、外的要因の影響を受けにくいといい、食品や酒類では感触改善に使用されている。

 「化粧品用途では初の提案となる。独特の感触ながら、保水性が高いためユニークな商品がつくれるだろう」(大野勝昭WSP営業部件新事業開発室課長)

「進化系パウダー」の開発に成功
高級感付与するパッケージも紹介

 ダイセル・エボニックは、化粧品の感触改良剤に広く用いられているナイロン系微粒子ポリマーを主力製品に持ち、さらにポリマー内部に無機フィラーや顔料などを高濃度に内在させるコンポジット化技術や真球化技術を有している。

 同社特有の「ダイアミド MSP-TIO、MSP-ZNO」に代表されるコンポジット・パウダーは、しっとり感のあるナイロンパウダーの内部に酸化チタンや酸化亜鉛など様々な機能性化粧品原料を含蓄させることで、なめらかな感触はそのままに、内在材料の機能性も発現する。

 現在、紫外線バリア機能をさらに高めたナイロンパウダーを開発しており、「PA++++」に対応する感触の良いパウダーを展示会の主砲として紹介する。

 従来は酸化チタンなど紫外線バリア機能を有する材料を内在させることが多かったが、「今後は他の機能性原料も含有させた進化系パウダーを開発、提供していきたい」(鳥枝真由美 新事業開発部LSグループ)としている。

 パッケージを提供するダイセルパックシステムズは、新商品として「セルシャイン」を開発した。摩擦を抑えるマットでやわらかな素材のため、製品が箱内で回転するのを防ぎ、常に製品の「顔」部分を正面に固定することができる。全7色展開で、顧客の要望に合わせて色を追加することも可能という。既存の「セルピーチ」をさらに軽量化させ、成形性も高めている。

 また、トウモロコシ由来のバイオマス原料を配合した「セルコンパクトエコ」は、CO2排出量を一般のPS容器と比較して約20%低減する。薄肉化に成功し、耐寒性、耐衝撃性を両立させた機能性の高いパッケージとなっている。

 「化粧品業界は差別化が強く求められるため、素材提案をしながら、デイザインを含め多様なニーズに応えていく」(髙橋孝一営業部第一グループグループリーダー)

 ダイセルグループでは、今回の「CITE Japan」において、原料からパッケージまで提供できるグループの総合力を活かしたシナジー効果を狙い、社名認知とともに技術力の高さをアピールする方針だ。

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