化粧品の開発現場で活躍する女性社員(リケジョ)に注目

週刊粧業 2014年4月21日号 5ページ

カンタンに言うと

化粧品の開発現場で活躍する女性社員(リケジョ)に注目

 女性が消費の大半を担う化粧品の開発現場では、女性ならではの感性や視点、新たな発想を持つメンバーの果たす役割が今後ますます重要性を増すものと推測される。

 そこで、今特集では化粧品・トイレタリーメーカー全11社の協力のもと、研究・開発の現場で活躍する有望な女性社員にスポットを当て、どのような想いを胸に日々の研究・開発に取り組んでいるのか、その実像に迫った。

※画像は、従来の概念を打ち破る先鋭的な化粧品づくりで成果を上げるオルビスのメンバー。

創造的なモノづくりには
チャレンジ精神の尊重が必修

 今回の取材では、研究・開発の現場において社員のチャレンジ精神を尊重する企業風土が、創造的なモノづくりに必要不可欠であることが改めて浮き彫りになった。

 コーセーの神本純子氏は、壁をつくらずコミュニケーションを重視する企業風土について触れ、研究所内でも若手研究者のアイデアや企画を提案しやすい環境にあることなどが、研究者としてのモチベーションにつながっていると語る。

 ちふれ化粧品の大内しおり氏もまた、若手の意見に寛容な企業風土があり、毎日のように上司に新たな提案を行い、その繰り返しが自身の成長につながっていると述べている。

 アルビオンの根上晴香氏は、「研究もまずは営業を経験すべき」との同社の企業方針から、入社後1年間は商品開発部に在籍しつつ、美容研修で販売現場に立ち、「結果として直接ユーザーに商品の魅力を伝えたことが『顧客目線での化粧品づくり』に活かされている」と証言している。

 また、直接ユーザーと対面する訪販メーカーにも取材を進め、オッペン化粧品の東田みずき氏は、自ら手がけた製品の仕上がりを見て、自分だけの力では開発することができないことを強く実感したという。

 同じく訪販メーカーの日本シャクリー・諏佐直美氏もまた、開発から発売に至るまでは周囲の協力を得ながら問題を解決し、社内のあらゆる部署や協力会社との連携が開発の仕事で重要であると語っている。

信念貫き、これまでにない
コンセプトの商品生み出す

 今回はトイレタリーメーカー3社(マンダム、ユースキン製薬、クラシエホームプロダクツ)にも取材を行った。

 マンダムの久加亜由美氏は、男性のデオドラントやスタイリング分野のトップメーカーとして、他社には負けたくないというプライドが研究において最大のモチベーションになっているという。

 ユースキン製薬の三村江未氏は、化粧品の研究開発の仕事について、使う人が幸せになれるものであることを信念とし、効能・効果はもちろん、快適な使用感も重視した化粧品づくりに取り組んでいる。

 クラシエホームプロダクツの矢賀浩子氏は、入社後3年間は営業として経験を積み、育児休暇を経て研究員として職場復帰を果たし、育児をしながらヘアケア新ブランド「ディアボーテ HIMAWARI」の開発にも携わった。

 一方で、通販メーカーのオルビス・西野英美氏は、「社員の心を動かせない商品が顧客の心を動かせるはずがない」との一心で、従来のブランド概念を打ち破る先鋭的な化粧品づくりで成果を挙げた。

 新奇性の高い商材に対する社内の風当たりは強く、多くの議論が交わされたが、社員の不安が期待に変わるまで何度も説得を続け、累計販売42万個のヒット商品「ORBIS=U」を生み出した。

 こうした彼女たちのブレない強い信念こそ、これまでにないコンセプトの商品を生み出す原動力になっているようだ。

【記事掲載企業】
◎コーセー(神本純子氏)~心に響く製品づくりの第一歩は人とのコミュニケーションから
コーセーは、製品・開発研究所、基礎研究所、技術情報センターの3拠点で化粧品の研究開発を行っている。神本純子氏は入社後、美容成分の開発などを担当。その後、スキンケア製品研究室に移り、直近では「雪肌精」や「コスメデコルテ AQ MW」などの主力ブランドのスキンケア製品を手がけている。
◎アルビオン(根上晴香氏)~販売の現場を経験し、顧客目線で妥協しない化粧品づくりが信条
根上晴香氏は2010年4月に入社し、以来、商品開発部商品開発グループに在籍する。入社後1年間は同部に在籍しつつ、美容研修で販売の現場に立ち、その経験が「顧客目線での化粧品づくり」に活かされているという。
◎マンダム(久加亜由美氏)~ニオイを「鼻」で嗅ぎ分ける過酷な環境をやりがいに転化
技術開発センター・基盤技術開発課に所属する久加亜由美主任は、デオドラント分野の基礎研究に精を出している。「昔から鼻が利く」という特性が、意外なかたちで活きることになった。デオドラントの研究は同社の得意領域の1つだ。「ニオイの研究は奥が深い」と探求心を漲らせている。
◎クラシエホームプロダクツ(矢賀浩子氏)~営業職から研究職へ、新ブランド開発に携わる
ビューティケア研究所・矢賀浩子研究員は、営業職として入社し、3年間営業の経験を積んだ後、研究所に異動。その後、出産、育児休業も経験し、現在はインバスヘアケアカテゴリーにおいて処方開発を行っている。先日発売した「ディアボーテ HIMAWARI」の開発に携わるなどの実績を持つ。
◎オッペン化粧品(東田みずき氏)~夢の第一歩はメーカーへの進路相談、メークで実績積みスキンケアへ意欲
訪問販売を軸に化粧品・医薬部外品を展開しているオッペン化粧品は、滋賀工場(滋賀県草津市)に研究所を併設し、独自成分の開発から処方開発、製造までの一貫体制を敷いている。今年4月で5年目を迎えた商品部研究開発課の東田みずき氏に話を聞いた。
◎ナリス化粧品(成田美穂氏)~素材研究を続けて10年以上、独自性にこだわり新分野も視野
ナリス化粧品の研究開発部は、約60名の研究者がそれぞれ研究課、開発課、評価研究課、美容研究課の4部署に所属している。成田美穂氏は2001年4月の入社から研究課で素材研究に取り組み、現在は基盤技術グループリーダーとして課をまとめる。
◎ちふれ化粧品(大内しおり氏)~入社3年目でヒット商品も担当、春から新たに商品企画に配属
開発部と、現在属する研究部素材研究課を経て入社3年目を迎えた大内しおり氏は、今年6月から新たに商品企画本部に配属されることになった。その若さとは裏腹に、勉強熱心で責任感が強いと社内で評判だ。研究・開発分野での経験を活かし、商品企画という新たな道を歩み出す。
◎オルビス(西野英美氏)~従来のブランド概念を打ち破る先鋭的な化粧品づくりで成果
西野英美氏は2002年4月に入社し、商品企画部メークチーム、マーケティング部Web新規チーム、商品企画部スキンケアチームを経て、現在は商品管理部に在籍する。商品開発では、今年2月にブランド再構築の要として発売した新スキンケア「ORBIS=U(オルビスユー)」のプロダクトマネージャーをつとめた。
◎ユースキン製薬(三村江未氏)~化粧品開発者を目指し、初志貫徹目指すは人を幸せにする製品開発
ユースキン製薬研究開発部開発チームの三村江未氏はすでに10代の頃、化粧品開発の仕事に就きたいと志を決めていた。その夢をユースキン製薬で実現し、今年で5年目。どのような思いで仕事に臨んでいるのだろうか。
◎ハーバー研究所(福山恭子氏)~愚直に追い求める課題は子供と一緒に使える製品
2002年入社のK&K生命科学研究所 化粧品開発室 エキスパート 福山恭子氏は、社会人の第一歩として他の化粧品メーカーで2年間の現場経験を積んだ後、「他社で自分がどれだけ通用するか」を発奮材料に同社の門を叩いて現職に就いた。腕試しの舞台がハーバーだった理由は、選択肢のうちで最も「安全」の二文字が際立っていたからだという。
◎日本シャクリー(諏佐直美氏)~他部署との連携あっての製品開発初のフェイシャルエステ導入に期待感
訪販化粧品業界でも女性の開発担当者の活躍の場が増えている。日本シャクリーマーケティング本部商品開発部の諏佐直美氏は昨年11月に同社に入社し、即戦力として大型新製品の開発を進めている。諏佐氏に開発担当者としての意気込みを語ってもらった。

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