グラセル、本社移転・タイ進出でグローバル企業元年へ

カンタンに言うと

グラセル、本社移転・タイ進出でグローバル企業元年へ

img2281_2.jpg 大阪・茨木市を本社に化粧品容器の開発・販売に取り組んでいるグラセルは2014年5月、本社を移転・拡大した。

 また同年冬には、海外事業の本格化に向けて、タイ・バンコクにほど近いサムット・プラカーンに化粧品容器メーカーとして「グラセル・タイランド」の竣工を控えている。

 グローバル企業として大きな一歩を踏み出す同社の谷村敏昭社長に、国内の成長戦略と海外事業の構想について話を伺った。

ショールームを充実させ、デザイン力もアピール
ニッチニーズに対応、国内事業の成長維持へ

 同じ茨木市内に設立した新本社は、延床面積が旧本社の5倍以上となる約1万3000㎡(約4000坪)の広さで、これまで4拠点に点在していた倉庫を本社敷地内に統合した。

 また、新たにガラスビンの全自動洗浄ライン(クリーンルーム)を導入し、試薬品の容器や化粧品用のガラスビンにも活用していく。一拠点化により各部署間の連携を強化して、顧客の要望に即対応可能な体制を築き、生産性の高い業務遂行に務める。

 本社拡大にともない、ショールームの展示棚も移転前の3倍に増やして、展示する自社開発容器を充実させた。壁面全てを使用し、スキンケアのシリーズ容器からヘア&ボディケア向け容器、メークアップ容器に至るまでの自社開発容器をカテゴリー別に並べている。

 実際に最終製品として採用された容器を手に取ることもでき、顧客の商品企画・アイデアの進展をバックアップしていく。

 国内市場においては、クリーム容器が、オールインワンゲルをはじめとする多機能コスメの浸透にともない、採用実績を伸ばしている。

 谷村社長は「まだまだ引き合いが多い分野なので定番化しているシリーズで、容量・サイズ違いを増やしつつ、今後は定番シリーズとは少し異なる設計・デザインをねらったクリーム容器の開発にも取り組み、様々な商品企画に対応できる体制を強化していく」と述べた。

 また、近年開発を強化しているメークアップ関連やヘア&ボディケアといったトイレタリー関連の容器のさらなる充実化を図るとともに、育毛、スポットケアなどニッチニーズに応えるサブカテゴリー容器の金型への投資も継続していく強気な姿勢を示した。

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化粧品容器のトータルサービスをアジアで実現
年内稼働に向け汎用容器の開発など準備着々

 同社は2012年度に続き、2013年度も売上げを伸ばしたが、谷村社長は「人口減少にともなう市場縮小が濃厚と言われており、国内事業の成長率鈍化は避けられない」と述べ「中長期的な成長に向け、国内業績が堅調な時期に、海外事業の基盤を構築する必要があった」とタイ進出の経緯を説明した。

 「化粧品市場の成熟化が見込める地域の一つとして以前から注目していた。候補国は他にもあったが、タイは15年以上前から資材関連などで取引を継続している国だ。人も土地もよく見知っているという安心感が決め手になった」(谷村氏)

 「グラセル・タイランド」は、首都バンコクから車で約1時間の距離にあるサムットプラカーン(Samut Prakan)の約1万㎡(3000坪)ある敷地に、日本の協力企業と共同で、金型から、インジェクション・インジェクションブロー・ダイレクト(多層含)ブローといった各種成形、蒸着・塗装、印刷、検査までの全工程をトータルサービスできる設備を導入する。

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 各工程の協力企業が国内工場で使用しているものと同型の機械を揃え、一貫生産による価格メリットを打ち出しながら、日本品質を追求していく。

 日系企業の参入も意識し、多品種・少ロットにも対応していく方針だ。年内本格稼働に向け、すでに一般規格品に使えるスキンケア容器の開発を進めている。

 谷村氏はマーケティング調査を進めていく過程で「ブランドメーカーだけでなく、OEM企業も東南アジアへ進出する企業が増え、容器のインフラも整いつつあった」とする一方、「現地周辺には化粧品容器を専門に金型を作っている企業がなかった。

 また、展開されている容器も留型がほとんどで、一般規格品の容器が少なかった」という点に、後発でも市場開拓のチャンスがあるとの考えを示し、「蒸着・塗装の技術においても、ローカル企業や先行する外資系企業よりも優位性を打ち出せるはずだ」と自信を覗かせた。

 さらに、2015年には自由貿易協定(略称=FTA)により、加盟国間の輸入関税が完全撤廃となる。タイを起点に、経済発展にともない中間所得層が顕在化してくるASEAN諸国の市場開拓を見据え、各国や地域の言語に対応した総合カタログの準備もはじめている。

 国や地域のニーズに合った容器の展開を通じて、グローバル企業の歩みを進めていく。

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