環境保護の観点などから一般的に広がった詰替用商品だが、今から40年前に、化粧品で初めて詰替用の商品化を実現させたのが、ちふれ化粧品だった。
その長い歴史の第一歩は、1974年6月25日にまで遡る。まさに高度経済成長下の大量消費時代で、まだ「使い捨て」が当然だった。
前年の第1次オイルショックに端を発した物価や原料・資材費の高騰を受け、多くの消費財が値上げに踏み切る中、同社は当時の「100円化粧品」の価格据え置きを宣言。価格を維持するとともに有限である資源を削減する過程で生まれたのが、詰替用化粧品だった。
開発当時はチューブタイプを使用し、化粧水で用いる樹脂量を本体容器約50gから約14gに軽量化している。
取締役の関泰明 商品企画本部長によると、「使い捨て」が当たり前だった時代背景もあり「当時はなかなか売れなかった」という。
それでも、「限りある資源を大切にするために広めていく必要がある」との方針を貫いてきた。
転機となったのは、1997年に容器の形状をチューブからパウチタイプに変更したことだった。化粧水の使用樹脂量は、本品約37gに対して約5・5gまで削減し、一層の省資源化を図った。
環境保護や省資源意識が消費者の間でも少しずつ広がる中、パウチへの移行後は「販売量も急激に増加した」(関氏)という。
パウチはその後も改良を重ね、使いやすさが向上。また、アルミの使用量を削減するなど環境負荷の低減効果も高めてきた。
1999年には、容器製造時の端材を再利用して詰め替えを補助する「じょうご」を開発し、現在でも店頭で無償配布している。
その後も詰替用は売上げを伸ばし続け、化粧水の出荷量は2002年に本品を逆転した。
また、化粧水の使用樹脂量は、1997年から昨年までの17年間で約838トンを削減した。
40年前に商品化した25商品が、現在はスキンケアやヘアケア、メイクなどのカテゴリーで計45商品にまで広がり、このうち約60%の出荷が詰替用だ。
中には、他では見られない珍しい商品もある。それが口紅だ。
年間250万本超を出荷するヒット商品の1つだが、1997年からケースを別売りしているのだ。
環境保護の一環だが、口紅ならではの「気分によってケースだけ変えて持ち運べる楽しさ」(関氏)もあり、好評だ。ケースは通常品に加え、不定期に限定版も販売している。
詰替用の商品化から40年を迎えた今年、同社は6月25日を「詰め替えの日」として登録するなど啓蒙活動を強化し、消費者の省資源、環境保護の意識を喚起していく。関氏は、「環境に対する投資は積極的に行う」と今後の取り組みに強い意欲を見せている。
この記事は週刊粧業 掲載
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