アリババグループが運営する中国B2Cオンラインショッピングサービス「天猫(Tモール)」内の「天猫国際」が今年10月、化粧品・健康食品に特化したECサイトをスタートする。
それにともない、日系企業のアジア進出サポートを行うトランスアジア(本社=東京都中央区、森友則代表取締役)は、中国の東紅移動傳媒技術(本社=広東省広州市、鄭玉龍CEO)と共同で、同サイト上に「メイド・イン・ジャパン」商材の供給を開始する。
東紅移動傳媒技術は、モバイルコンテンツ&広告の配信事業を軸にB2B向けサービスを手がけてきた中、新たにB2Cサービスの展開を目的に、モバイルEC事業を昨年より開始。その第一弾として「天猫国際」における化粧品・健康食品のゲートウェイ独占権(サイトトップページ上部2カ所)を取得した。
鄭玉龍(テイギョクリュウ)CEOは、ゲートウェイ独占権の有効な活用法として「中国ECでは日本製の化粧品や美容ドリンクは非常に人気がある」ことから、日本商材のみを収集したサイトの提供を決意した。
トランスアジアを日本国内の商材を収集するパートナー企業に選んだ理由については「日中双方の化粧品業界に精通していることが必須条件だった」と説明。トランスアジアは、上海に事務所を構えて日本製化粧品の販売支援を行っており、双方の利害一致により、今回の共同事業に至った。
中国EC市場シェア5割を占める「天猫(Tモール)」は、出店に際して商標権や授権書、輸入品であれば関税の納税証明などの法令遵守が必須となる。また、保証金の担保により違反が抑止されている。サイトの信頼性という観点から、C2C向けEC「淘宝(タオバオ)」と区別され、欧米ブランドの多くが中国市場の本格展開を目的に出店している。
天猫の1サービスである「天猫国際」は、その名の通り国外ブランドを集結させたECサイトで、中国国内ユーザー(登録会員約7億人)が「個人輸入」というかたちで買い求めることができる。そのため、化粧品などに必要な成分検査「CFDA」など中国法が定める諸条件は、個人に許されている量の範囲内で適用外となる。
商材は香港市内の倉庫にて厳重に保管され、商材撮影と同時に販売に向けた商材の情報精査や中国語翻訳などのローカライズ後、サーバアップ、情報更新、問い合わせ対応、出荷、代金回収までの一式をワンストップで管理運営される。「化粧品など嗜好性の高い商品は、購入後のリピーターを着実に獲得できるかが重要」(鄭CEO)との考えから、クレーム処理などアフターフォロー体制も整備している。
森代表は「『中国進出の障壁』とも言われるCFDAの審査が実質不要になることで、受検にかかる費用・時間といった負担をなくすことができる。医薬部外品など展開できる商材の幅も拡げられるし、効率かつ効果的なプロモーションも実現可能だ」と日系企業が中国市場の開拓・拡大に天猫国際を利用するメリットを語る。サイトオープンまで日本商材の収集に動く。
※〔写真〕「天猫国際」での共同事業を展開する森代表(左)と鄭CEO
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この記事は週刊粧業 掲載
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