週刊粧業選定 2014年 化粧品・日用品業界10大ニュース

週刊粧業 2014年12月8日号 1ページ

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週刊粧業選定 2014年 化粧品・日用品業界10大ニュース
【第1位】消費増税前後の駆け込み・反動減が想定以上に

 2014年も残りわずかとなったが、消費税の5%から8%への引き上げが、化粧品日用品業界にとって最大の衝撃を与える出来事であったと思われる。

 増税前後の経営トップの発言は、「想定通り」というものが大勢だったが、蓋を開けてみると、「想定を遥かに上回る」駆け込みが起こり、その反動減も当初予測されていた6月を飛び越え、9月になっても収束したとは言えない状況に陥った。

 消費増税の市場への影響をまとめた花王の決算資料(㈱インテージSLI調べ)によると、トイレタリー(79品目)は、金額ベースで3月が42%増となった反動で、4月が17%減、5月が6%減、6月が4%減となった。一方、化粧品(26品目)は、金額ベースで3月が57%増となった反動で、4月が23%減、5月が16%減、6月が11%減となっている。

 各社の業績を見てみると、資生堂では、化粧品店頭売上が3月に前年同月比60%増を記録した反動で、4月が24%減、5月が14%減、6月が8%減、7月が7%減、8月が8%減、9月が5%減となった。大型製品の投入が10月以降に集中していることが大きく影響したようだ。

 ライオンは、1~3月に前年同期比33%増(市場:18%増)を記録した反動で、4~6月が12%減(市場:9%減)となったが、7~9月は1%増(市場:△0%)へと盛り返している。高付加価値製品の戦略的な投入で市場よりも早く増税影響から脱しつつある。

 一方、コーセーは前期第4四半期に20%を超える伸長を遂げつつ、今期も第1四半期、第2四半期で5%前後の伸び率を達成。消費増税という成長阻害要因をものともせず、売上高は過去最高を更新するなど、好業績に衰えがみえない。

【第2位】免税対象に化粧品追加でインバウンド対策が過熱

 2013年12月の「与党税制改正大綱」により、2014年10月から外国人旅行者向けの消費税免税制度が変更され、すでに免税対象となっていた家電、装飾品、衣類、靴、かばん等のほか、免税対象から除外されていた食品類、飲料類、たばこ、薬品類及び化粧品類等も含め、全ての品目が免税対象となった。

 こうして化粧品も消費税免税の対象となったことから、百貨店を中心にインバウンド(訪日外国人観光客)対策を強化する動きが活発化している。

 実際、2014年10月度の全国百貨店売上高概況をみると、主力の衣料品(2.8%減)をはじめ、主要5品目いずれも前年実績を下回ったが、インバウンドの活況もあって化粧品は6.4%増となり、4カ月連続でプラス成長を続けている。

 全国百貨店における訪日外国人売上高(10月)についても、単月で約86億円と過去最高を記録。伸び率をみても、10月の免税制度改正による品目拡大効果と中国の国慶節休暇が重なり、売上高は18.3%増、購買客数が52.2%増と一段と増勢(21カ月連続プラス)を強めている。

 当社の推計では、2020年の化粧品・医薬品・トイレタリー分野におけるインバウンド売上は2297億円で、現在よりも1500億円の増加が見込まれている。

 卸企業のトップも「インバウンド対策をしっかりと講じ、ノウハウを蓄積していくことで、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に本格的な増加が期待される訪日外国人客の取り込みに全力を挙げて取り組む」(井田両国堂 井田隆雄社長)、「大きなリスクを冒して海外展開を図るよりも、海外の需要を確実に取り込める」(あらた 畑中伸介社長)というようにインバウンド効果への期待感を語っている。

【第3位】シニア世代向けブランド導入の動きが活性化

 50代以上をターゲットにしたシニア向けブランドの導入が活発化した。

 5年後には50代以上の女性が全女性の過半数に達すると言われている。一方、少子化で若年人口は減少傾向にあり、化粧品業界ではシニア世代向けの商品開発が進みつつある。

 今のシニア世代はシミやシワなどのエイジングサインをケアするだけでなく、ベースメークやポイントメークで肌を明るく、華やかに見せたいというニーズが高い。このため、スキンケアブランドから派生したメークアイテムだけでなく、加齢によって生じる黄ぐすみをカバーして肌を明るくみせるアイテムに特化したブランドも求めるようになった。

 花王の「プリマヴィスタディア」、カネボウの「コフレドールグラン」に続き、今年はコーセーが「エルシア」を50代以上の女性に向けたエイジングケアブランドに刷新した。

 中でも20代にバブル経済を体験した50代は若い頃からメークに親しんできたこともあり、自ら積極的に情報収集をして自分に最適なアイテムを取り入れようとする。ブランド志向が強く、多少値が張っても他人よりよいものを求める傾向にある。50代がカンフル剤となり、シニア市場を牽引していくのではないかと言われている。

 一方、シニアトイレタリー市場でも花王が「アタック」と「リセッシュ除菌EX」2つのブランドを横断する形で「消臭ストロングシリーズ」を発売した。尿臭などのニオイ悩みをケアし、ストレス軽減につなげてアクティブシニアの育成をはかる。

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