ライオンは4月18日、創業者・小林富次郎氏のゆかりの地である宮城県石巻市に雨水タンクを寄贈するにあたり、記念式典を湊こども園(設置場所)にて執り行った。当日は、ライオンの濱逸夫社長や亀山紘石巻市長をはじめ、金融機関、一般社団法人、NPO法人の代表者などが詰めかけた。
濱社長は式典冒頭の挨拶で、「石巻は、創業者が当社を創業する2年前の1889年にマッチの軸木を製造する会社を立ち上げたものの、翌年の台風による大洪水ですべてを失い、再起を決意したゆかりの場所である。絶望の中にありながらも、『鍛錬というものは、当座は喜ばしいものではなく、悲しいものだが、後になるとそれで鍛え上げられた人々に、義という平和に満ちた実を結ばせる』という聖書の一節を思い浮かべ、翌年には東京神田の地に石鹸・マッチの原料取次ぎを行う小林富次郎商店を開設し、後に石鹸や歯磨をスタートして、124年引き継がれ、今日を迎えている。創業者の石巻での経験がなかったなら、今のライオンはなかったと考えると非常に感慨深い。そういう縁もあり、石巻に対する社員の想いというのは特別のものがある。今回、復興の象徴である湊こども園の開設と同時に我々の雨水タンクを贈呈する機会を得たことは大変喜ばしいことだ。当社では、水に深く関わる事業活動を展開していることから、製品を通じた環境配慮だけではなく、水環境を守る活動も実施しており、雨水の活動もその1つである。ライオンの水を大切にしたいという想いと、震災後の避難生活で石巻市民の方々が感じた水への想いが重なったからこそ今回の設置に至ったと考えており、雨水を有効に使うシンボリックな施設として活用してほしい」と語った。
続いて、亀山市長は「創業者のゆかりの地、石巻で東日本大震災以降、ライオンの皆さんは『東北に元気を LOVE.石巻』をスローガンに様々な形で復興支援を行っている。石巻のニーズである『子どものケア』『コミュニティの再生』『経済復興支援』の3つを軸に、本業と一体化した生活習慣の啓発として、手洗い啓発活動や歯みがき啓発活動にもご尽力いただいた。今回、水資源保護という観点から雨水タンクを寄贈していただいたが、子どもたちにとっては『雨を通して自然を理解する』『自然との関わりについて学ぶ』という機会が得られた。科学を知り、科学の夢を持つことは子どもたちの創造性を育むうえで最も大事なことであり、是非、こども園の皆さんには雨水タンクを利用して自然と人間との関わりを勉強する機会にしてほしい」と述べた。
雨水タンク設置の経緯は、「湊こども園の設計に携わっていた市役所建築課の五井氏が、震災後の避難生活で水に困ったという市民の要望を受け、雨水タンク設置を計画し、子どもたちに水の大切さを忘れないでもらうためのアイデアを検討していた頃、偶然、ライオンが墨田区に寄贈した雨水タンクの存在を知り、問い合わせしていただいたことが縁となった」(小竹由紀CSR推進部長)という。
濱社長、創業の原点・石巻への想いを語る
――石巻でのこれまでの活動を振り返っていただけますか。
濱 震災以降、石巻の皆さんとの意見交換をもとに、保育所や幼稚園での歯みがき・手洗い啓発活動やラグビー教室、生活情報の講習会など、様々な活動を創出してきた。その1つの形が今回の雨水タンクであり、これを新たなきっかけにして、長期的な視点で継続していくつもりだ。
ライオンの社員が、石巻での復興支援に関わることにより、会社に対する想いや社会に対する関わり方を改めて思い起こすことは非常に意味のあることであり、社員の想いを強くすることにつなげていきたい。
亀山 震災から4年が経過したが、この間、ライオンの皆さんが手洗いや歯みがきの啓発活動を通して支援を行う中で、子どもたちに夢を与えてくれた。また、コミュニケーション再生に向けては、掃除や洗濯、健康、美容の講習会を開催し、経済復興支援に向けては、延べ18回の「石巻マルシェ」という物産展を開催するなど、様々な復興支援に取り組んでいただいた。これまでの支援に感謝するとともに、これを機会にさらに絆を深めていきたい。
――今後、雨水タンクがどのように活用されることを望んでいますか。
濱 震災により何もなくなった場所に再出発を期す施設が開設されると同時に雨水タンクを寄贈でき、子どもたちがそれを活用して元気になり、石巻の発展のために活躍する起点になっていくというのは非常に喜ばしいことだ。まさに、「今日を愛する今日を迎えた」という気がする。
子どもたちを起点に新しい復興が始まることはとても重要なことであり、自然の恵みである雨水を大切にし、遊びながらそれを覚えてもらうことで、石巻の成長に向けてさらに活躍をしてくれることに期待している。
亀山 次世代を担う子どもたちが震災から立ち上がり、元気になって、夢を求めてしっかり育ってもらいたい。そういう意味でライオンの取り組みは、これからの石巻にとり、大きな財産になる。
この記事は粧業日報 掲載
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