第1位「インバウンド需要拡大で
化粧品市場は前年超えへ」
シンクタンクの総合企画センター大阪では、2014年のインバウンド市場(化粧品+トイレタリー)を約550億円とし、市場全体の2.4%を占めると見ている。2015年については、訪日外国人客数の増加やメーカーのインバウンド需要の活発な取り込みを踏まえ、前年比で1.7倍となる950億円を見込んでいる。
また同社では2015年の化粧品市場の伸び率を前年比1.0%増と見込んでいるため、15年の化粧品トイレタリー市場におけるインバウンドの占める割合は約4%(前年比1.6P増)に高まると考えられる。つまり、インバウンドは化粧品市場を4%程度押し上げるインパクトを持っていると考えていいだろう。
経済産業省が発表した2015年1~9月の出荷実績によると、金額は1.2%増の1兆1148億1600万円、個数は0.3%増の21億8147万個となっている。このため、もしインバウンドによる4Pの押し上げ効果がなかったとしたら、出荷実績も前年割れとなり、苦戦を強いられていたことが想定される。
そういう意味で、2015年の化粧品市場は「インバウンド」を抜きに語れないと考え、2015年10大ニュースの第1位に選定した。
ますます期待が高まるインバウンド消費だが、中国経済の先行きが依然として不透明で、今後も円安の追い風が続くとは限らない。あくまでもインバウンド消費は補助的なものであり、国内市場で着実な成長戦略を推し進めることこそがメーカー各社にとって重要であることは言うまでもない。
第2位「化粧品メーカー各社の
インバウンド戦略が活発化」
日本を訪れる外国人観光客の消費動向をみると、訪日前にインターネットやSNSなどのクチコミをもとに商品の情報収集を行い、買い物リストを作成してから日本を訪れるケースが多いことから、このリストに載るためのWebを中心とした仕掛けがインバウンド消費を取り込むうえで重要な起点となる。
花王は自社サイトに中国からのアクセスが増加していることを受け、今年7月に中国人観光客の間で人気の高い蒸気温熱シート「めぐりズム」のアイマスクなどの一部商品を中国語(簡体字)で紹介する商品カタログページを開設した。
8月には、カネボウ化粧品も同様にインバウンド向けの中国語カタログページを作成し、訪日前に購入商品を検討する中国人観光客への対応強化を図った。
また、インバウンド需要の取り込みを図るためには、「訪日前」「訪日中」「訪日後」の各シーンに応じた必要な販促施策が求められるが、特に「訪日中」の店頭での商品訴求に注力する企業の動きも目立った。
pdcでは、今年から都市部のドラッグストアを中心に「リフターナ コンセントレートマスク」(写真)の中国語POPや専用什器の設置を進めるなど、インバウンド需要への対応を本格化した。
同社ではこうした取り組みが奏功し、同アイテムの今年2~7月の出荷実績が前年同期比で7~8倍と好調な売れ行きを見せているという。
マックス ファクターでは、外国人の来店が多い店舗に中国語、韓国語、英語が話せるバイリンガルなスタッフを派遣し、販売サポートに力を入れている。
マンダムでは、人気商品「ビフェスタ」の企画品を中国語POPとともに販売するなど、インバウンド対策で新たな試みを開始している。