化粧品OEMのホシケミカルズでは沖縄ヤマト運輸と連携し、那覇空港に隣接する「沖縄グローバルロジスティクスセンター」内に充填工場を構え、ヤマトグループの物流ネットワークを活用し、製造から物流、通販サイト運営、販促支援などをワンストップで行う「越境EC支援」サービスを2015年11月から展開している。
連載最終回となる今回は、同社が制作・運営を手がけ、今年1月の開設を予定する越境EC支援サービスサイト「ゼロから始める化粧品越境EC」と、今春の実現を目指す「充填工場の保税化」の2点について紹介する。
企画開発室広報の平地祥子氏によると、新サイトでは圧倒的な企業認知度を誇るヤマトグループのシンボル(クロネコ)マークを打ち出すことにより、新サイトと越境EC支援サービスに対する信頼性を高め、越境ECビジネス参入につなげていきたい考えだ。
また、「ゼロから始める」をサイトの冠名に掲げた狙いとしては、「越境ECビジネスを開始するにあたり、人員を増員する必要がなく、さらに薬事や越境ECに関する知識がなくても、興味があれば気軽に越境ECビジネスを立ち上げることができる点」(平地氏)を訴求している。
新サイトではサービス導入事例に加え、「低リスク」「低コスト」「越境ECにまつわる全業務支援」といった特長をアピールしていく。
「当社ではこれまで、海外企業からのOEM受注で各国のトレンドやニーズに合わせた商品づくりのノウハウを長年にわたって蓄積してきた。越境EC支援では、こうしたノウハウをもとにクライアントの希望する商品コンセプトに応じ、中国に限らずアジア全体を視野に入れ、その中で最適な展開国の提案が可能なことも大きな強みだ」(平地氏)
同社では今春、化粧品工場として国内初の試みとして、「沖縄グローバルロジスティクスセンター」内にある充填工場の保税化を目指している。
保税化の実現によるメリットとして、海外容器などの資材を輸入する際、従来まで発生していた通関手続きと関税負担が軽減となる。そのため、韓国や台湾など特恵関税外の国からデザイン性に優れた質の高い海外容器を採用しているクライアントにおいては、通関のリードタイム縮小とコスト面で大きなメリットになる。
これを越境EC支援に活用すると、保税状態のまま海外容器を充填工場に蔵置しておくことで、注文に応じた分だけ生産が可能になり、在庫リスクの低減によってクライアントのキャッシュフロー改善にもつながる。
「充填工場の保税化によるコストメリットで、海外のお客様はより適正な価格で日本製品を購入できる環境になり、安定的なリピート購入が期待できる。越境EC支援では香港や台北、シンガポールといった都市に住むお客様個人宅への翌日配送が可能で、当社ではこの支援サービスを通じ、『Made in Japan』化粧品の価値向上に貢献していきたい」(平地氏)