天真堂・児玉社長に聞く、目指すは「流通革命」のパイオニア

C&T 2016年12月15日号 56ページ

天真堂・児玉社長に聞く、目指すは「流通革命」のパイオニア


容器の工夫で短納期と配送効率向上
「IoT」「AI」技術搭載した容器で新潮流

 ――貴社が現在、注力している取り組みについてお聞かせください。

 児玉 天真堂が目指しているのは、「流通革命」のパイオニア的存在になることだ。

 この流通革命を実現するためには「物流革命」が不可欠で、さらに物流革命の前に「資材革命」が必要になってくる。

 元々、「医薬部外品を1週間で納品できる」というOEMビジネスをスタートしたのも、クライアントのためにできるだけスリムなビジネスで展開したいという考えが根底にあった。

 医薬部外品を1週間で納品するために、最も大きなハードルとなったのが「容器」だった。というのも、容器の調達には通常30日~60日の日数がかかり、今では60~90日もの日数がかかるのが業界で当たり前のようになってきている。そこからバルクを充填するとなると、さらに商品の納期が遅れてしまう。

 クライアントにとってみれば、納期が遅くなればなるほどその間の余分な在庫を持つ必要性が生じてしまう。しかし、商品を短納期化できれば、キャッシュフローが改善され、クライアントの企業経営をより楽にすることができる。このように、容器調達の遅れが商品納期にも影響するのであれば、容器の納期を縮めることが得策だと考え、「資材革命」に着手した。

 そして、当社が独自に開発したのが「カートリッジ式容器」で、スキンケアで使用するジャー容器をカートリッジ式に工夫することで商品の短納期化が実現し、さらにこれがクライアントにとっても容器代のコストカットというメリットにつながった。

 このカートリッジ式容器には単品リピート通販ビジネスで培った我々のノウハウを搭載しており、パウチのような詰替タイプと比べて簡単に交換できる。さらに、スキンケア容器としては珍しく、本体に鏡を付けているのでお手入れがしやすい。

 カートリッジ式容器の在庫は当社が持つため、あとは中身を充填するだけの状態なので、クライアントから注文があってから医薬部外品を最短1週間で納品することができる。カートリッジ式容器を入れる容器本体は初回購入時に同梱し、その後のリピートはカートリッジ式容器のみを届けるという通販ビジネスを構築したことで、クライアントは余分な在庫を持つことなく計画生産が可能になった。

 このような資材革命の取り組みを経て、今現在注力しているのが「物流革命」だ。

 物流業界では現在、配送物量が増えていく一方で配達人口が減少し、物流コストが増加傾向にある。また、近年は共働き世帯が増えていることに比例して留守宅も増加している。こうした社会的な背景から、1個の商品の配達が完了するまでに2.8回の配送が必要となっており、不在に起因する通販商品のキャンセル率が10%に達すると言われている。

 こうした状況にある中で、最もよい配達方法を突き詰めていくと、自宅以外のコンビニや駅などに置いてある商品を取りに行くといったよりも、やはり自宅ポストに商品が直接届いていたほうが通販利用者にとっても、さらには配送効率の向上といった観点から見てもベストな方法だと考えた。

 ただし、単に自宅ポストに商品を入れるだけになると、「誰が何をどこにいつ届けた」ということが明確でなければ大きなリスクになる。

 そこで、当社では新たな試みとして配送会社と共同事業で「コネクトハピネス便(以下、CH便)」を開始する。

 1回目の商品配送はジャー容器本体も同梱するため通常の宅急便になるが、2回目以降のリピート購入ではCH便での商品配送となる。

 このCH便では、購入者が在宅時には直接手渡しで配達する一方、不在時にネックとなる再配達をなくすため、営業所に戻さず購入者の自宅ポストへ商品を投函する。このポストインを実現するために、カートリッジ式容器の厚さは27㎜に設定した。

 ただし、ポストへ投函するだけでは受領印の代替となるものがないので、CH便では独自の専用アプリケーションと連動させ、ドライバーがポストに投函したことを購入者のスマートフォンにプッシュ通知を行う仕組みを新たに開発した。

 また、ポストインでは商品の代引決済ができないため、Web上で口座自動引き落としの手続きができる決済の仕組みを構築した。こうした取り組みを通じ、配送効率を向上させるための「物流革命」を世の中に起こしていきたいと考えている。

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