ライオン、明治期の歴史資料が化学遺産として認定

粧業日報 2017年3月15日号 3ページ

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ライオン、明治期の歴史資料が化学遺産として認定
 ライオンが所有する明治期の石鹸製造の記録(製造日記)、明治期の歯磨(初期のライオン歯磨、英米輸出歯磨)の3点が、公益社団法人日本化学会が認定する後世に伝える貴重な歴史資料「化学遺産」として、「近代化粧品工業の発祥を示す資料」に認定された。

 今回、化学遺産に認定された資料は、明治・大正時代に製造された化粧品に関連した資料や製品。それまでの日本にはなかった化粧品、化粧法が西洋から導入されたことで、国産化粧品が製造されるようになったことを今に伝えている。

 同社が認定を受けた資料は、身体用石鹸に関わる製品および製造について記した冊子、歯磨(2点)の計3点で、いずれも明治時代に作られたものだ。

 製造日記は、1893年(明治26年)から製造を開始した化粧石鹸「高評石鹸」などの製造について記されたもの。材料の調合比率や製造の手順、製品の分析結果などが記載されており、近代の化学製品らしさを伝えている。

 初期のライオン歯磨は、1899年(明治32年)に製造されたもので、紙袋パッケージの中に粉歯磨が入っている。主原料である炭酸カルシウムは、ドイツからの輸入品を砕いて用い、英国製の香料数種をブレンドして製造していた。当時は、動物の名前を歯磨の商標に使うことが流行していたこともあり、歯牙が白くて丈夫である「ライオン」を製品名に採用。おもて面は英語表記のみだが、裏面には効能や使用方法を、英語と日本語で記載している。

 英米輸出歯磨(桐箱パッケージ 「Banzai」)は、創業者・小林富次郎氏が欧米を視察し、欧米向け輸出用歯磨の製造を開始した頃(1905年)のもので、桐箱に収められている。

 同社では、今回の化学遺産認定について「明治期の画期的な製品として技術的・歴史的な価値を評価された」とコメントしている。

 化学遺産は、日本の化学・化学技術史に関する貴重な歴史資料を認定することにより、文化遺産、産業遺産として後世に伝え、化学に関する学術と教育の向上、化学工業の発展に資することを目的とするもの。第7回までに38件、今年度の第8回では「近代化粧品工業の発祥を示す資料」を含め5件が認定されている。
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