化粧品・医薬部外品OEM/ODM国内大手の東洋ビューティはこのほど、佐賀県神埼市南部工業団地(同市千代田町柳島地内)に新工場を建設することを発表し、上野工場(三重県)、宇都宮第一・第二工場(栃木県)と合わせて国内生産3拠点体制を整える。
5月15日には佐賀市内のホテルで、佐賀県知事・山口祥義氏、神埼市長・松本茂幸氏と同社の瀧見良平社長の3者による進出協定締結式が開かれ、3者協力により県・市の地域活性化に貢献していくことを確認し合った。
瀧見社長は、既存の東日本・中部エリアにある2つの工場に加え、「西日本エリアに新たに生産拠点を置くことで安定供給基盤をより強固にする」と語った。
2019年1月からの本格稼働に向けては、「年内に工場の方向性を明確にし着工したい」とし、新工場の具体的な構想については「魅せる工場」や「ロボット(AI)導入による省人化」などをキーワードに挙げつつ、「社員へのアンケートも行って進める」としている。
同社は近年、計画を上回る形での業績推移が続いており、5カ年計画の2期目となる2017年4月期も売上高が約210億円で好調に推移した。つくば工場を閉鎖し宇都宮第2工場として工場を集中させることで、生産の合理化・効率化が進んだことも業績好調の背景にあるが、生産数量が1拠点に偏りはじめていた。もともと今5カ年中での新工場建設の構想を持っていたが、「BCP(事業継続計画)を考慮し、2期目に入った昨夏より調査に本格的に動き出した」という。
佐賀新工場は、分譲面積約1万1000坪(3万9378㎡)、延床面積1万3000㎡の広さで、投資額は約55億円を予定している。
瀧見社長は「西日本エリアに絞り込んで探索を進める中で、自然災害が他地域よりも少ないことに加え、製品運搬やアクセスの良さが決め手になった」という。九州佐賀国際空港や九州新幹線・新鳥栖駅から車で約30分、福岡空港からも1時間圏内だ。
新工場の立地を活かし、瀧見社長は「東・東南アジアを中心とした海外輸出に関する顧客の要望にもより柔軟に対応できるようになるだろう」と話す。「『Made in Japan』を求めての問い合わせや依頼が年々増えてきている」(瀧見社長)ことから新工場を拠点に海外顧客の獲得にも意欲を示す。
また、佐賀県では関連会社である大手化粧品原料商社の岩瀬コスファが、化粧品産業の集積地として佐賀県と唐津市が推進するコスメティック・クラスター構想に参画しており、同社も「コスメティック構想への参画も視野に地域経済の活性化に貢献していく」としている。