展示会の開催に関わる企業・団体で構成されている日本展示会協会(以下、日展協)は1月12日、新年懇親会を開催した。冒頭の関係者挨拶では「見本市中止問題」についての言及が相次いだ。
40年前から欧米の国々は「展示会は経済活性化と経済発展のためのエンジン」と位置づけて経済発展を遂げ、中国も同様に経済発展を続けている。しかし、日本は東京オリンピック開催に伴い、数多くの展示会が開催される東京ビッグサイトを20カ月にわたり使用中止とする予定となっており、「見本市中止問題」として多くのメディアで取り上げられている。
石積忠夫会長(リードエグジビションジャパン社長)は、この問題について、「多くの展示会が大幅に縮小、もしくは中止になるとわかり、我々は大きなショックを受けた。この問題は数多くのマスコミで報道され、多くの方に認知されたものの、問題の本質が今ひとつ正確に理解されていないように思える」とし、20カ月間で何が起こるのかについて解説した。
また、展示会中止に伴い、出展する中小企業7万8000社の売上2兆円と展示会支援企業1600社の売上2300億円が消失し、倒産する企業が続出する可能性があり、各産業の活性化が停滞することで国際競争力が低下してしまうと指摘。一度縮小や中止になった見本市は、復活が困難だと強調した。
「これらのことから、リオやロンドン、北京などの過去のオリンピックでは、展示会の中止が起きないよう、政治・行政が万全の手を打ったと聞いている。我々はオリンピックの成功と同時に、例年と同じ規模で展示会が開催できるよう強く要望していく」(石積会長)
続いて、103名の国会議員が参加している自由民主党展示会産業議員連盟で会長を務める甘利明衆議院議員が挨拶した。
甘利氏は、「展示会は需要と供給の場であると同時に、モノやサービスの新たな需要が開発される場であり、貿易や経済の振興につながっている」と展示会の意義について述べたうえで、「本来、経済を牽引するはずのオリンピックが経済にマイナスの影響を与えては元も子もない。オリンピックが日本経済の確かな再生に結びついていくよう、尽力していきたい」と語った。