コーセー、素顔の画像から理想顔つくる美顔化システムを開発

粧業日報 2018年3月1日号 4ページ

コーセー、素顔の画像から理想顔つくる美顔化システムを開発
 コーセーは、明治大学 総合数理学部 荒川薫教授との共同研究により、撮影した顔画像をもとに調整されたデジタル画像を繰り返し選ぶことで、理想顔の画像を作り出すことのできる「美顔化システム」を開発した。

 理想とする肌色や肌状態は、個々人で異なるため、一言で今よりも「ワントーン明るい肌にしたい」「気になる毛穴を隠したい」と言っても、希望する変化の程度を正確に言語化することは困難であった。

 そこで、本人の素顔の画像から理想の肌の顔画像を作り出すことのできる「美顔化システム」を開発し、その人の心の中にあるなりたい理想顔の可視化を行うとともに、同システムを用いて、20~50代の日本人女性55人の嗜好性について調査、解析を行った。

 今回開発した「美顔化システム」は、まず撮影した素顔画像のデータから、「毛穴」「しみ」「しわ」「色相」「明度」のデータを、高精度に抽出・判別し、各パラメータを変化させた画像として十数枚程度をランダムに表示する。

 次に、表示された画像の中から、顧客の好みの画像を選ぶ作業を数回繰り返し行うことで、その人の理想顔画像が作成されていく。

 この理想顔画像は、「毛穴」「しみ」「しわ」が16段階、「色相」「明度」が32段階で変化させた約400万通りの顔画像パターンから選択される。

 同システムは、感性的な評価をする場合など「アルゴリズム化」できない時に適用される「対話型進化計算」という手法を導入しており、人とコンピューターがコミュニケーションを取りながら対話していくことで、無数あるパラメータ変化の組み合わせから、短時間でなりたい理想顔の画像を選択することができる。

 実際、同システムを用い、素顔画像のデータに各パラメータを変化させた画像から好みの画像を選ぶ作業を数回繰り返して作成された理想顔画像は、素顔画像に比べて明度(肌の明るさ)が高く、色味は赤味が抑えられ、黄味寄りに変化していることがわかった。また、「毛穴」「しみ」「しわ」の理想とする除去率も明確に把握することができたという。

 同システムを用いて、20~50代の55人について調査を行い、年代別にデータを解析した結果、各年代で「しみ」の除去率が高い傾向がみられた。

 また、「しわ」については40代を境に年代が高くなると除去率も高くなり、年代によって求める理想顔の傾向に違いがあることが明らかとなった。

 さらに、顔の明度と色相の関係をみてみると、各年代とも明度は高く、黄味方向の顔色を好む傾向があり、20代・30代では明度を重視した顔色を理想としている傾向があり、40代・50代は、色味の変化をより求めていることが明らかとなっ
た。

 このように、同システムを用い、素顔と理想顔の差を数値として詳細に理解することで、顧客が真に求めているものを把握することが可能になったという。

 同研究は、 2016年米国で開催された「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)オーランド大会」において既に発表しており、今後は、今回の研究成果を応用し、コミュニケーションツールとしての活用を目指す。
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