日光ケミカルズ、超高濃度酸化亜鉛分散剤や美肌サポート成分に注力

C&T 2018年3月15日号 42ページ

日光ケミカルズ、超高濃度酸化亜鉛分散剤や美肌サポート成分に注力
 ニッコールグループ 日光ケミカルズ(本社=東京)は、長年培ってきたコロイド化学や皮膚科学の知見をベースにグループ7社の総合力を活かして、原料の開発・製造・販売から製剤開発、安全性・有用性評価まで、幅広いニーズに応えるトータルサポートサービスを展開している。

 さらに、パートナーとの共同研究や商社機能を活用して、国内外から安全・安心で安定供給可能な幅広い原料を取り揃え、新しいストーリーやコンセプト提案など差別化を進めている。

 サンケア分野では、関連会社のKOBOディスパテック社の製品を販売している。

 KOBOディスパテック社は、高度な分散技術を活かして、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛をさまざまな分散剤や分散媒を用いてディスパーションにした製品をラインナップしている。優れたUV遮蔽効果を示しながら高い透明性を実現しているのが最大の特徴だ。

 高度な表面処理と分散技術により、粒子径を理想的なサイズでコントロールできるため、UV遮蔽効果を最大限に発揮させることが可能。さらに、油中や水中に安定して粉体を均一分散させられるため、高濃度の粉体を配合しても白浮きの少ない透明性のあるサンスクリーン製剤を実現することができる。

 最近では、処方開発者の目線で製品化した高濃度酸化亜鉛ディスパーション「CMNIP70ZK1J」の提案に注力している。

 通常、酸化チタンや酸化亜鉛を分散させたディスパーションに使われている分散剤は、べとつくなど使用感が良くないものが多く、配合量によっては最終製剤の使用感に影響する場合がある。

 そこで、KOBOディスパテック社の分散技術を応用し、分散剤の使用量を大幅に減らして微粒子酸化亜鉛を分散させたディスパーション「CMNIP70ZK1J」を開発したという。

 「CMNIP70ZK1J」は、従来のディスパーションに比べて「分散剤の配合量を3分の1までカットした(当社比)」(開発担当)といい、分散媒も軽い使用感のシリコーン油やエステル油を使うことで最終製剤の使用感に影響しにくい酸化亜鉛ディスパーションとなっている。

 さらに、粉体濃度が70%まで高めることに成功。目的のUV遮蔽性を出すために必要な処方への配合量が従来品と比べ少なくなり、自由に配合できる成分の割合が増えるため、処方開発の幅が広がる製品となっている。

 またKOBOディスパテック社では、分散技術を応用して、メイク製品に使用される顔料を分散させたカラーディスパーションも製造している。

 3本ローラーやディスパーミキサーを用いた従来の方法で製造された分散物よりも分散性や色の安定性が良く、ロットブレも少ないことが特徴だ。また、発色やツヤ感に優れ、塗布表面が滑らかで粒残りも生じにくく、ロットブレも少ない。さらに、流動性のあるペースト状になっているため分散効率がよく製造作業の短縮ができ、粉散りする心配がないため作業環境の改善にもつながる利点もある。

 美白分野では、メラニンの排出を促し色ムラのない美肌へ導くリノール酸誘導体「NIKKOL VF-LINO」の提案に注力している。

 「NIKKOL VF-LINO」は、「メラノソームの表皮細胞への取り込みを抑制」し、「ターンオーバーを正常な状態へ誘導」する2ステップで美白効果をサポート。新しい作用メカニズムに着目した製品だ。

 皮膚の色の変化は、紫外線の暴露などにより合成されたメラニンがメラノソームという小胞が表皮細胞へと取り込まれ、皮膚表面に顕在化して起こる。さらに紫外線の暴露は、メラノソームの表皮細胞への取り込みも促進することが知られている。

 「NIKKOL VF-LINO」は、表皮細胞への過剰なメラノソームの取り込みを抑制する作用があるため、皮膚表面でのメラノソームの顕在化を防ぎ、美白効果をサポートすることが期待できる。

 また、表皮細胞のターンオーバーは、メラノソームを取り込むことで遅延することが知られている。遅延したターンオーバーを戻すため、単純にターンオーバーを促進させても、効果があるとは限らない。色素沈着部位以外のターンオーバーも速くなってしまうため、全体の皮膚の色は改善しているにも関わらず色素沈着部位とその他の皮膚の色の差がより強調され、色ムラが目立ってしまう場合がある。そのため、ターンオーバーを促進するよりも遅延したターンオーバーを通常の速度まで戻すことが重要だ。

 「NIKKOL VF-LINO」は、メラノソームを取り込んでターンオーバーが遅延した表皮細胞にのみ働くため、ターンオーバーが正常化し、色ムラの改善が期待できる。

 日光ケミカルズでは、このような優れた製品をただ単に紹介するのではなく、最終ユーザーを意識した処方とともに紹介している。

 また、顧客の要望に応じた的確な安全性・有用性評価方法や共同開発の提案もしており、開放研究室における製剤化支援や研修など、グループの総合力を活かした、他社ではできないような提案型企業として活動を行っている。
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