花王、加齢による不快な口臭の原因を解明

粧業日報 2018年10月9日号 2ページ

花王、加齢による不快な口臭の原因を解明
 花王パーソナルヘルスケア研究所と香料開発研究所は、口臭の原因を探る研究を続ける中、「加齢にともない増加する口臭の不快さには、主に口気成分であるスカトールが関与し、スカトールの濃度と舌苔の付着には高い相関が認められること」「スカトール濃度の増加は、舌苔の中に存在するFn菌の構成比率の増加と関連していること」を突き止めた。

 口腔トラブルの中でも、消費者の悩みが深いのが「口臭」で、年齢によって口臭が変化しているとの意見が多く聞かれるものの、加齢と口臭の不快さに関連する口気成分の関係や、加齢と口腔状態の変化の関係については、これまで明らかにされていなかった。

 そこで同社では、加齢とともに口臭が不快になる原因を明らかにすべく、口臭の不快さに関連する口気成分とその産生機序について研究を行った。

 研究では、加齢にともなう口臭の不快さとそれに関連する口気成分を調べるべく、60代男性28名、40代男性18名、20代男性18名の計64名を対象に、起床時からの飲食、口腔清掃等を禁止し、口臭の官能評価、口臭成分の濃度測定、口腔状態の評価を行った。

 その結果、加齢により、口臭の不快さ(官能評価値)が有意に増加し、検出・定量可能であった口気成分18種類の中で、スカトールのみが加齢により有意に増加することを確認した。続いて、主要な口気成分濃度と口腔状態との関連性について相関分析を行ったところ、スカトールを含む5種類の口気成分と舌苔の付着状態(WTCI)との間に高い相関が認められた。

 以上のことから、加齢にともない口臭の不快さは増加し、その不快さは主に口気成分であるスカトールが関与していること、スカトールの濃度は舌苔の付着状態と関連していることがわかった。

 次に、スカトール濃度と舌苔中の細菌との関連性を調べるため、30歳代から50歳代男性69名を対象に、起床時からの飲食・口腔清掃等を禁止し、午前中に舌苔・口臭サンプルの採取と、次世代シーケンサによる舌苔中の細菌構成比率測定、口臭成分の濃度測定を行った。

 その結果、舌苔を構成する細菌の中からFn菌構成比率の高い群、中程度の群、低い群の3群(各n=23)に分けた層別解析を行ったところ、Fn菌の構成比率の増加にともない、スカトール濃度も増加していた。

 以上のことから、加齢とともに口臭を不快にさせるスカトール濃度は、舌苔中のFn菌の構成比率の増加とともに増えることがわかった。
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > 花王、加齢による不快な口臭の原因を解明

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop