コーセー、毛包内の幹細胞に着目した育毛への新たなアプローチを解明

2013年11月22日 14時00分

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、毛根を取り囲む毛包内に存在し、発毛を司る役割を持つ2種類の幹細胞に着目し、幹細胞のダメージ抑制効果のある美容成分(ビワ葉エキス・シャクヤクエキス)を開発しました。

 毛包内のバルジ領域という部分には、毛を作る「毛包幹細胞」と色を作る「色素幹細胞」が存在し、それぞれが細胞分裂することにより、毛母に細胞の元が供給され、毛髪が形成します。

 今回開発した美容成分がこれら幹細胞のダメージを抑制することにより、育毛や白髪の防止効果への応用が期待できます。

幹細胞に着目した、新たな育毛対策

 毛髪の生え変わるサイクル(毛周期)のうち、「休止期」の毛包の根元にはバルジ領域と呼ばれる部位があります。近年、このバルジ領域に毛を作る「毛包幹細胞」と色を作る「色素幹細胞」が存在し、それぞれが成長期にかけて細胞分裂することにより、毛母に細胞の元が供給され、毛髪が形成されることが明らかになってきました。

 また、バルジ領域内の幹細胞の核にあるDNAが損傷を受けると、幹細胞としての機能が失われ、毛母への細胞の供給がストップしてしまうため、次のサイクルでは健康な毛が育たなかったり、白髪が生じたりすると考えられます。

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幹細胞ダメージ抑制効果の検証

 当社は、このバルジ領域に存在する幹細胞に着目し、DNAに対するダメージ抑制効果のある成分を探索しました。その結果、ビワ葉エキスとシャクヤクエキスに、DNA ダメージを抑制する効果があることを見出しました。

 これはDNAに受けたダメージの指標であるγH2AXを免疫染色し、ビワ葉エキスとシャクヤクエキスを添加した場合のγH2AX 陽性細胞の割合を比較することにより明らかにしたものです(下図参照)。

 また、桑の根皮より得られるソウハクヒエキスは、毛周期の休止期の期間を短くして成長期へと促す働きがあることが従来から知られています。本研究により幹細胞ダメージ抑制効果が見出された、ビワ葉エキスとシャクヤクエキスに、ソウハクヒエキスを加えることで、育毛への複合的な効果が期待できることから、当社の育毛、まつ毛ケア製品へ応用予定です。

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《用語解説》

幹細胞……
 幹細胞とは、ほかの細胞の元となる特別な細胞で、自分自身を増やす自己複製能力と、ほかの細胞に分化(成長)する能力を持っています。幹細胞は新陳代謝が盛んな臓器に存在していることが知られており、毛の成長にも幹細胞が関与していることが知られています。

毛周期と薄毛の原因……
 毛髪には、成長期、退行期、休止期からなる毛周期があることが知られています。薄毛は、何らかの原因で正常な毛周期が維持できなくなり、毛包のミニチュア化とともに、成長期の期間が短縮して十分な硬毛形成ができなくなり、発症するといわれています。これまでも、頭皮のケアや男性ホルモンの抑制、毛乳頭活性化といった対策がとられてきましたが、根本的な解決には至っていませんでした。

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