"顧客満足"を掲げてはいるものの、なかなか現場に落とし込まれていない要因として、「お客さま力の低下」(多くの従業員がお客さまの立場で考える力がなくなっている)現状について、お伝えしてきました。
今回は、そもそも会社として勘違いしているケースを考えてみたいと思います。
多くの企業では、「顧客のニーズを捉えてそれに応えていくこと」が"顧客満足"につながると考えているようですが、これについては3つの疑問が出てきます。
①「顧客のニーズとは何ですか?」
②「それに応えることが、本当に"顧客満足"につながりますか?」
③「それに応えることが、会社の利益にもつながりますか?」
具体的に説明しましょう。
顧客ニーズという言葉を使いながら、「お客さまの"不"に対応する」つまり、不満、不安、不便、といったものを解消しようという認識でとどまっている企業が非常に多いようです。
"不"を解消しようという活動自体は大切なことですが、問題はそれが"顧客満足"に繋がっているという思い込みにあります。
"不"の解消は、お客さまにとっては"当然"であり、決して"満足"に繋がるわけではありません。
では、何がお客さまにとっての"満足"に繋がるのでしょうか。
それは、お客さまの"期待"を超えることです。
ところが難しいのは、この"期待"については、直接お客さまに尋ねてみたところで容易には出てこないものだということがあります。
"iPod""iPhone""iPad"と立て続けにヒット商品を出したアップルの開発担当者は、こんな意味のコメントを残しています。
「我々アップルは、商品開発の際にアンケートやグループインタビューといったユーザー調査は、意味が無いので一切やりません」
事実、"iPad"が発売される以前に業界紙が実施していた消費者調査では、「DVDが観れる機能が欲しい」「カメラ機能が欲しい」「画面タッチパネルは使い勝手が悪いから不用」といった結果が出ていたのですが、それらを全く考慮していない"iPad"が大ヒットしたわけです。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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