第3回 中国で美容トレンドを作るという発想

 中国で化粧品を売るためには「いかにブランドを知ってもらうか」ということが大変重要です。と言うのも、中国の化粧品市場はP&G、ロレアルなど欧米系を主流とする上位10ブランドで市場シェア全体の約5割が占められており、それだけ中国人女性はブランドの知名度を重視しているからです。

 認知度を上げるためには、どうしてもマス広告が必要となってきますが、マス広告は高騰しており予算のある企業ですらマス広告を打ち続けることは難しいのが実情です。また、最近ではメディアが増え過ぎてしまいマス広告の効果自体が薄れ、費用対効果を感じられないという問題も浮上してきています。

 何か他に良い方法はないものでしょうか?

 そこで今回は、この問いに対するヒントとなり得るアイデアをご提案したいと思います。

 中国の女性達が美容の情報を入手する媒体として最も一般的なものは雑誌です。中国では駅や道沿いに雑誌を売る売店がたくさんあり、20~40代の幅広い層の女性達がよく雑誌を読んでいます。ご存じの方も多いかと思いますが、女性向けの雑誌で人気があるのは、日本の雑誌の中国版です。日本の雑誌社から記事コンテンツのライセンスを供与してもらい発行していますが、日本のページをそのまま翻訳したものは全体の3分の1ほどで、残りは中国雑誌社の編集者達が自ら取材編集し作成しています。

 私は、こういった中国で作成しているページに日本の美容家としてよく掲載されており、複数の中国の雑誌編集者達とお付き合いをしていますが、彼女達は驚くほど日本の美容情報を欲しがっています。そして、雑誌ごとにカラーがあり、欲しいコンテンツも様々です。例えば、中国で一番売れている雑誌「瑞麗(Ray中国版)」の編集者からは、「今一番日本でホットな化粧品や美容の情報を教えて欲しい」とのリクエストを受けましたが、別の雑誌「健康之友(ヘルスケア系では中国で№1の女性向け雑誌)」の編集者からは「美容健康の情報ではなく、日本人女性の洗練されたライフスタイルを記事にしたい」と言われました。

中国美容1.jpg

「瑞麗(Ray中国版)」の編集部一同と筆者

 また、「コスモポリタン中国」の編集者は「中国でまだ売られていない日本の良い化粧品を教えて欲しい」と言われ、その理由を尋ねると「今中国には化粧品が溢れているが、自分の肌に満足している人は少ない。まだ中国にはない良い化粧品を紹介することで中国の女性に夢を与えたい」という答えが返ってきました。

中国美容2.jpg

「コスモポリタン中国」の上席編集者と筆者

続きを読むには無料会員登録が必要です

  • PC、スマホからいつでも
  • WEBでかんたん記事検索
  • 化粧品業界の優良記事を
    お届け
この記事のお問い合わせはこちら

沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。

http://blooms.jp.net/

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第3回 中国で美容トレンドを作るという発想

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop