第4回 「モノづくりの姿勢」をダイレクトに消費者に届ける

 日本の企業の中には、モノづくりにこだわりと信念を持つ企業が少なくありません。今回は、こうした日本企業の真摯なモノづくりへの姿勢をダイレクトに消費者に届けることの意義やその効果について考えてみたいと思います。

 先日、ある案件で中国の洗顔石鹸のOEM工場の視察に行ってきました。視察したのは中国地場系の工場で、規模は中程度以上、中には米国系大手訪問販売化粧品会社のOEM生産をしている工場もありました。各工場では、製造責任者と会い、日本から持参したサンプル(透明の石鹸)と中国語に翻訳した処方で自分達の作りたい石鹸について丁寧に説明をしました。

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(視察した工場のライン〈左〉と包装され市場に並ぶ前の化粧石鹸)

 しかし、これに対する製造責任者からの提案はどこの工場も同じで「この処方に記載されている成分は、ほとんど知らない。でも、透明の石鹸を作ることはできる。まず作ってみるので、それから何を加えたらいいか検討しよう」と言われました。つまり、見た目が同じだったら大体それでいいだろう、という考え方を持っているようなのです。

 中国にはこうした「見た目が似ていればとりあえず市場に出してみる」といった風潮があるように思います。中国の消費者が、中国製の商品よりも外国製の商品の方を買いたがるのは、こうした自国のモノづくりの風潮をよく知っているからなのでしょう。実際、中国企業の品質に関する不祥事は一向に無くなりません。昨年末にも、大手乳製品メーカーの牛乳より発がん性物質が見つかり大騒ぎになりました。

 これとは逆に、「日本製」にはそれだけで「安全安心」というイメージがあります。しかし、調査をする中でこのイメージには具体性が欠けていることが分かってきました。グループインタビュー等で、「なぜ日本製は安心だと思うのか?」という質問をすると、「日本人は正直な人が多いから」とか「日本人は几帳面だから」等、概念的な回答しか出てこないのです。

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沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。

http://blooms.jp.net/

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