伊那食品工業という会社、すでにTV等でも取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思いますが、1958年創業の寒天専門メーカーです。
代表取締役会長である塚越寛氏が掲げているのが「年輪経営」という考え方です。
樹木が成長する際に1年1年着実に年輪を重ねていくイメージと照らし合わせ、あえて急成長を目指すのではなく、少しでも前年を超えるような成長を継続させることが大切だということです。
事実、伊那食品工業は、1958年から48期連続増収という実績を積み重ねてきました。
このような実績を出せる会社の特徴かも知れませんが、「やっぱり」というか「当然」というか、働いている従業員の皆さんのモチベーションが高いようです。
朝の出勤時には、定刻よりも1時間ほど早めに出社して掃除をしている従業員の方々の姿をたくさん見ることができます。
こういった光景を見ると、一般的な見方としては、「会社のルールとして役割分担をきちんと決めて実施されているのだろう」などと思ってしまいますが、全ての人が自主的に実行しているということに驚かされます。
例えば、トイレ掃除をしている方は、自発的に「自分はトイレを担当しよう」と決めて、徹底的にトイレを磨き上げている、伊那食品にとってみれば、こういったことが当たり前の日常なのです。
では、何がそのモチベーションにつながっているのでしょうか?
この伊那食品工業、実はこんな時代にも関わらず"終身雇用"、"年功序列賃金"を守っている会社です。「リストラにあって辞めさせられるという心配がない」、「給料が下がるかも知れないという心配がない」、つまり安心して働ける環境がここにはあるわけです。
安心感は、会社にいる間だけの話ではありません。定年後も希望者には会社の運営している農園で再雇用してもらえる制度があり、この農園には定年がないのです。
この安心感が、従業員の持ち家比率80%以上といった実態につながっているのでしょう。
塚越会長の経営に対する考え方のなかで、特に注目すべきポイントとして上げるとするならば、「会社は本来働く人を幸せにするためにできたものだ」という大前提だと思います。
その考え方が根底にあるからこそ、「会社としては当然利益が大事だけれども、決して社員を犠牲にした利益であってはならない」を信念として守っていけるのではないでしょうか。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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