前回のコラム「成長する企業の条件」のなかで、"できる"目標ではなく"すべき"目標を掲げることが成長に向かう大前提だと申し上げました。
「言わんとすることはわかるけれども、厳しい市場環境の中で自社の現実を考えると、なかなか踏み出していくのが難しいですね」
これは、講演などの場で直接お聞きすることの多い感想ですが、恐らく読者の皆さんの中にも同じような感想を抱かれている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、かつて私自身がお付き合いしたオートバイ販売会社A社の事例をお伝えしたいと思います。
国内のオートバイの市場規模は、1982年に年間販売台数320万台を超えるピーク期を迎えましたが、それ以降は年々その市場規模が縮小していきました。
A社とのお付き合いは1998年から始まりましたが、その年は確か100万台をやや超える程度、つまりピークの3分の1まで縮小し、業界関係者の方々も大きな危機感を持っていました。
A社の売上は1億円。東京の西多摩エリアに30坪の店舗を構え、社員数は社長を含めても3名、なかなか利益も出せず、このまま事業を続けるべきなのかを悩んでいるような状況でした。
オートバイの市場規模は、それ以降もどんどん縮小していきました。
1999年は90万台を割り込み、2001年には80万台を割りました。ちなみに現在は40万台前後の市場規模になってしまいました。
つまり、A社はそのような逆風の真っ只中にいたということです。
ところがA社の業績はというと、どんどん伸びていきました。
逆風が吹きすさぶなかで、2002年度の売上は1億8000万円、お付き合いを始める前の状況と比較すると180%アップ、まさに信じられない成長を果たしたわけです。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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