第14回 不正への対応策

【週刊粧業2015年6月8日号5面にて掲載】

 皆さんこんにちは。公認会計士の山藤です。

 今まで、様々な不正事例をご紹介してきましたが、今回は従業員の不正への対応策について考えてみたいと思います。



1.内部通報制度の確立

 第12回のコラムでもご紹介した通り、不正が発見される理由で一番多いものが内部通報制度になります。多くの会社が導入している制度ですが、課題もあります。通報者が社内外でいかなる不利益をも受けないことが明確にされなければ、制度自体が利用されませんのでまずは通報者の保護が必要となります。

 また通報にどの担当者がどのように対応しているか不明であればやはり制度の使用をためらうことになるので、通報窓口の明確化が必要になります。

 更に、通報者の決死の覚悟の結果である通報に対して会社が確実にアクションを起こし、不正が行われていた場合にはしかるべき手続きが取られなければ制度自体に対する信頼性も揺らいでしまいますので通報に対する会社の誠実かつ断固とした対応も必須となります。

2.内部監査部の独立性確保と権限移譲

 内部監査により発見される不正も一定以上の割合を占めています。

 しかし、日本の企業では内部監査部はローテーションによる異動者で構成されることが多く、経理部を含む様々な部署の出身者が多いと考えられます。こうした出自から監査対象部署に対して完全な独立性のある組織としての関係は保つことは難しいと言わざるを得ません。

 また、内部監査部の社内の立場も弱いことが多く、監査対象部署の業務に差障りの無いように配慮する結果、形式的な監査となってしまう傾向もあります。内部監査部が機能するためには、監査対象部署に対して完全に独立性を確保できるような人材の配置と権限移譲が必要となります。

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田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿、セミナー講師等、幅広い業務を行う。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/

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