第13回 越境EC参入時に知っておきたい商標上の注意点

【週刊粧業2016年8月22日号5面にて掲載】

 ここ数年化粧品・日用品業界を席巻した「爆買い」と「インバウンド消費」でしたが、商品がよく売れるという前向きなインパクトがある一方で、日本市場においては品切れが発生して日本の消費者の手元に十分な量が行き渡らないという問題が発生していましたし、中国市場では模倣品問題が発生していました。

 そんなデメリットを解消すべく、このところ化粧品・日用品業界においても「越境EC」という言葉の注目度がどんどん上がってきています。

 越境ECとは国際的な電子商取引であり、真正品を正規価格で取り扱えることでメーカー側・消費者側双方に利益があり、かつ、テストマーケティングの場として有効に活用できるなどのメリットも想定されます。

 今回は、越境ECに参入する上での商標上の注意点を2点ほどご紹介したいと思います。

 1つ目は、越境ECでの販売対象国においても商標権を有しておく必要があるということです。

 実際に販売代理店を介して海外進出されるケースなどですと、商標権取得の必要性について意識していただけるケースが多いのですが、ECとなると拠点自体は日本のままなので日本でさえ商標登録していればよいという発想になってしまいがちのようです。

 実際には、販売代理店経由の販売もECも手段の違いにすぎず、対象国の消費者に対して商標を使用しつつ商品を販売している事実には変わりありませんから、越境ECの販売対象国においても商標登録しておく必要があります。

 仮に商標登録していないと、模倣品問題に対処できないのはもちろんのこと、当該国に同一・類似の商品についての同一・類似の登録商標が存在した場合に商標権侵害となってしまいますし、貴社商品が話題になっているのを見た第三者が先取り出願してしまう可能性もあります。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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