第19回 時代と共に変わる商標・変わらない商標

【週刊粧業2017年3月20日号6面にて掲載】

 「商標は時代を映す鏡」と言われることがあります。商標はブランディング上の重要な要素ですから、各企業共に時代の波に乗ろうということで試行錯誤を行う結果、時代を反映したロゴマークやフォント等が用いられるわけです。

 化粧品業界において有名な例が花王のロゴマークの変遷です。当初のロゴは月の顔のデザインがリアリティのあるもので現代の感覚からすると怖い印象を受けるものでした。

 その後、スッキリとした女性の顔へ変貌を遂げ現在のデザインに落ち着いています。なお、昭和の前半に月の向きが変わったのですが、当初の右向きだとその後欠けていく一方、左向きだとその後満月に向かうという月の満ち欠けを意識したゲン担ぎの一環であるそうです。

 また近年、花王のロゴの文字部分は「花王」から「KAO」へと変更されました。グローバル化への対応を主眼としたものでしょうか。エステーなどは、近年「エステー化学㈱」から「エステー㈱」へと商号を変更しました。これは化学分野を超えた事業展開を志向する点と、より親しみやすい企業を目指す点を意識したものでしょう。

 このようなブランド変更・ロゴ変更等はブランド戦略の一環としてよく行われますが、その際の商標上の注意点についていくつかお伝えしたいと思います。

 まず、新しいロゴについて商標について権利を取り直す必要があるかという点についてはイエスです。あくまで商標権は出願した態様そのものから発生しますので、使用する商標そのものを保護するのが基本です。

 ただし、ベンチャー企業等予算の限られている企業についてはさしあたり標準的な態様で登録しておいて、事業が軌道に乗ったらその価値にふさわしい広範な保護を行っていくという選択肢もあります。

続きを読むには無料会員登録が必要です

  • PC、スマホからいつでも
  • WEBでかんたん記事検索
  • 化粧品業界の優良記事を
    お届け
この記事のお問い合わせはこちら

髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第19回 時代と共に変わる商標・変わらない商標

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop