第21回 助成金を利用した外国商標取得戦略の落とし穴

【週刊粧業2017年5月22日号12面にて掲載】

 化粧品関係企業が海外進出するにあたっては進出国における商標登録が必須となりますが、そんな企業様にとって要注目の助成金制度「中小企業等外国出願支援事業」があるのはご存知でしょうか。審査に通れば助成を受けられるわけですからお得な制度であるのは事実ですが、実はその落とし穴もたくさんあります。

 今回は、落とし穴の部分をご説明して、皆様が効果的に利用するための一助になればと思います。

 紙幅の関係で要点のみとなりますが、まずは制度の概要を確認しておきましょう。なお、本コラム執筆時点においては募集要項発表前であるため、昨年の募集要項の内容に基づいた情報となっている点にはご留意ください。

 本制度は中小企業の海外進出支援のための制度ですので、資本金要件又は従業員数要件を満たす必要があります。たとえば製造業でしたら資本金要件3億円以下か従業員要件300人以下となります。

 また、助成対象となるのは出願手続きにかかる費用の半額で、助成金額の上限は60万円となっております。つまり、出願に約120万円かかった場合には約60万円の助成が受けられるわけです。120万円でどのくらいの地域に出願できるかというと、国際登録制度を通して欧州連合を含む15の主要な国と地域に出願してだいたいそのくらいの額になります。欧州を個別にカウントすると40を超える国への出願をこの金額でカバーできることとなります。

 申請先はJETRO又は各都道府県の産業振興公社となり、応募時期は年度によって、また、申請先によって異なりますが今年度のJETROにおける申請受付時期は7月3日~8月4日が予定されています。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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