第31回 商標登録は保護しやすいものから

【週刊粧業2018年4月23日号11面にて掲載】

 ちょうど3年ほど前、商標業界では「音」や「色彩のみ」、「動き」などの商標が登録できるようになる画期的な法改正が行われ話題になりました。

 しかし、昨年9月の段階で、色彩のみの商標は出願509件に対して登録が2件のみ、音の商標は出願566件に対して登録が172件あるもののその中で音のみの商標は3件のみといった状況で、登録へのハードルが高いことが窺えます。音や色彩のみで登録できるようになったといっても誰しもが簡単に登録できるわけではないということですね。

 今回は、もう少し話を広げてどんな商標が保護しづらい・しやすいのかを考えてみましょう。

 色については、自社のコーポレートカラーを持っている企業様は多いので、自社関連業界でその色彩を独占したいと思うかもしれません。しかし、そもそも色彩はデザインなどを通して誰もが自由に使えるものなので、独占できるようになるにはその色彩=〇〇社という方程式が消費者の中で広く成立していなければなりません。

 登録例としては、トンボ鉛筆社のMONO消しゴムの青・白・黒の組み合わせと、セブン―イレブン・ジャパン社の白・オレンジ・赤・緑の組み合わせがあります。登録例を聞けば皆さん納得でしょうが、このくらい有名なものでないと独占はできないということです。

 音についても、歌詞がついていればその歌詞が社名・商品名であるということで登録するのはさほど難しくありませんが、音だけで登録するにはその音=〇〇社という方程式が消費者の中で広く成立している必要があります。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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