第62回 スクラップ・アンド・ビルドは女性の得意技

【週刊粧業2015年8月31日号12面にて掲載】

 「帰国の決心をしました」。私のFBに彼女からメッセージが届いたのは、バンコク市街地でテロかもしれない大爆発が起こった次の日のことです。

 30代で起業して、タイに会社をつくって2年。3人の子育てをしながら、現地で時間をかけて信頼関係を築き、会社も軌道に乗り始めました。「いよいよ、夢だった日本の女性目線の文化とバンコクをつなぐビジネスを始めます」と、新しい契約のため一時帰国していたのが、ほんの1週間前のことだっただけに、その決断には、子供を危険から守りたいと思う母性が彼女の背中を強く押したのだと思いました。

 それにしても、たった二日で、苦労してバンコクで築いた仕事を辞めて帰国することを決断した強さに、きっと周りの男性たちはあっけにとられ、積み上げたものも、あっさり捨ててしまう潔さに嫉妬すら感じたのではないでしょうか。

 男性がうらやむ女性たち。人生を軽やかにサバイバルする女性は、「これは違う!」と思えば、ひとつひとつ丁寧に積んだ積木の山でも、一瞬のうちに全部壊してしまう強さを持っています。

 危機一髪の治安の問題が起こっても、彼女はじたばたすることもなく、淡々と「また別のものを積み上げればいい」と日本へ帰る準備を始めました。ただ、壊しながらも、インターネットやSNSを駆使して、もう次の新しいビジネスの種を探し始めていることが、現代の女性たちが憧れるcoolな姿勢です。

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中村浩子

(株)ヴィーナスプロジェクト代表取締役社長

「JJ」「VERY」等ファッション誌の編集・企画を手がけ、黒田知永子や三浦りさ子等、その時代を代表するタレントをプロデュースし、トレンドを生み出してきた。 現在まで読者モデルを1万人以上発掘しており、現在は女性消費者を取材し続けてきたノウハウを活かし、ファッション・アクセサリー・ビューティに関わる商品開発やイベントを企画、ブランドプロデュース、コンサルティングまで幅広く行っている。

http://www.venus-project.jp/pro/02.html

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