第26回 集客商品と収益商品

【週刊粧業2015年5月18日号6面にて掲載】

 化粧品通販の立ち上げを考えている企業に、立上げ前に必ずアドバイスをすることとして、売りたいと考えている商品が必ずしも、新規を獲得できる『集客商品』にはならないという事があります。

 販売する側は、どうしても収益性の高い商品やライン使いで買ってもうら事ばかりに目が行きがちな為です。

 通販の場合、新規顧客を獲得する際に、広告を活用しますが、押さえておかなければいけないポイントの一つにどの商品を使って広告をし、新規顧客を獲得するかという集客商品の選定があります。

 このポイントを押さえずに、広告を出せばどのような商品でも売れると思い込み、自社が一番売りたい収益性の高い商品で広告を実施し、なかなか上手く新規顧客を獲得する事ができなかったという例をよく見かけます。

 この集客商品を身近なケースで例えると、スーパーなどの広告で見かける今日の目玉商品の『たまご』などが一番イメージに近いでしょう。つまり、『たまご』という集客商品を使って、スーパーにまずは来店をしてもらう事を目的に考えた取り組みと同じです。

 ある化粧品企業A社は、化粧品をお店などに卸しをすることを本業としています。スキンケア、メイク商品など品揃えも豊富に持っていることもあり、当初は何かしら売れるであろうというような安易な気持ちでの通販事業の立ち上げを考えていました。

 そこで、新規を獲得するための集客商品を1品絞り込んでもらうことを最初に行いました。同時に、集客商品によって新規顧客を獲得した後、どの商品で、どのような表現を使って、一番売りたい収益性の高い商品を案内していくかを立ち上げ時に決め、通販事業をスタートしました。

 その結果、いろいろな商品でやみくもに広告をすることなく、予め決めた1品に予算、労力を集中することができ、その後の販売シナリオも予め作ったこともあり、早い段階で通販事業を軌道に乗せることができました。

 まずは、新規顧客が購入しやすい商品で広告を出稿し、購入した顧客と関係性を築きます。そして、その後、一番買って欲しい収益性の高い商品を案内していけばよいのです。

 通販立ち上げ時には、集客商品と収益商品の役割を考えてからスタートするよう心掛けて行ってください。
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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