第31回 友人紹介サービスの活用

【週刊粧業2015年11月2日号12面にて掲載】

 化粧品通販業界では、年々広告による新規顧客の獲得効率が悪化しています。これは、新規参入企業が増え、広告出稿が増えたことと、企業が発信する情報への信頼度が低くなっていることも要因としてあります。

 しかし、効率が悪いからと言って広告出稿を止めてしまうと、たちまち新規顧客が獲得できず、事業へ悪影響を及ぼすため広告をやめることもできません。そこで、広告以外の方法で新規顧客の獲得を目的に『友人紹介サービス』の取り組みを積極的に行っています。

 広告ほど、沢山の新規顧客を獲得することはできませんが、広告出稿の費用と比べると安価に獲得ができ、友人からの紹介ということもあり信頼度が高く、効率が良い取り組みとなっています。

 仕組みとしては、既存顧客に対して、『ご友人を紹介してくだい』といった案内を送り、紹介してもらうと、紹介者と紹介された友人両方に特典としてクーポン券や商品をプレゼントするといった形です。

 通販企業A社は、長年買い続けている顧客は商品に関する情報や企業への信頼度も高いことから、たくさんの友人を紹介してくれるのではと考えていました。

 しかし、実際友人紹介サービスに取り組んでみると初めて商品を購入したお客様からの紹介が一番多いことがわかりました。そこで、初めて商品を購入しお客様には、必ず紹介サービスの案内を商品に同梱することにしました。

 恐らく、商品を初めて購入した人のほうが、長年買い続けて習慣化している人よりも、商品への期待感が高まっており、それが紹介という流れへとつながったのでしょう。

 通販企業B社は、紹介特典による紹介数の変化があるのではないかと考え、過去様々な特典にて検証を行ってきました。その結果、特典によって紹介が多いこともあれば、少ないこともあることがわかりました。現在では、紹介が多かった商品を特典としてプレゼントすることとし、積極的に紹介数のアップを目指しています。

 また、ある通販企業C社では、紹介特典が紹介者と紹介された友人と同じほうが、紹介数が多くなることがわかり、今では、両者に同じ特典を付与することにしています。

 また、ある通販企業社D社では、紹介された友人の8割の人が定期購入者となり、広告で新規顧客を獲得するよりも質の高い顧客を獲得することに成功しています。

 このようにみていくと、友人紹介サービスが新規顧客獲得に有効な取り組みであることがわかります。過去に紹介サービスに取り組んだが、なかなか思うような成果が出なかったという企業は、特典や紹介案内ツールの見直し、案内する対象者を変えながら再度チャレンジしてみてはいかがしょうか? 

 また、広告の効率が悪くなり新規顧客が思うように獲得できないと課題をお持ちの企業は、友人紹介サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 ただし、忘れてはいけないことは、商品力と日々の顧客対応力があってこその成果です。お客様対応をおざなりにしていてはどんなに特典が魅力的であっても紹介はもらえませんので、是非とも、商品力と対応力の強化も合わせて取り組んでいってください。
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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