第33回 意識改革よりも、まず行動を!

【週刊粧業2016年1月25日号6面にて掲載】

 コンサルティングの現場で、経営者の方から自社の社員やリーダー核の人に責任感を持って自ら考える力を身につけて欲しいという意識改革についての相談を受けることがよくあります。そのような時は、教育の一環として、他社の事例などをお伝えし、その内容をヒントに自社ならどんな取り組みが出来そうかと、自ら考えてもらうような取り組みを行っています。

 しかし、どんなに様々な事例をお伝えし、その場で考えてもらっても、実際に行動に移さなければ本当の意味で意識まで変えることは出来ません。また、実際のところ意識が変わったか否かを測る物差し自体が無いため、行動が変わらなければ意識が変わったかどうか判断することは難しいものです。

 そこで、重要なのが、今すぐ出来そうな簡単な事からまず行動に移してもらうということです。

 通販会社A社は、事業立ち上げ当初は2名体制で事業を行っていました。Xさんはとても積極的に業務に取り掛かり、一方Yさんはやや受身的な形で業務を行なっていました。しかし、新卒の後輩が入り責任ある立場に置かれたことと、継続して取り組んでいたことが上手く行き、売上が上がった事が重なり、Yさんは自然と責任者としての自覚が芽生え、積極的に自ら考えて行動するようになりました。

 通販会社B社の経営者は、お客様とのコミュニケーション強化に向けての取り組みを社員に自発的に取り組んでもらいたいと考えておりました。実際のところ、取り組み自体は全くやっていないわけではなかったのですが、経営者からすると、もっと工夫をしてもらいたいと考えていたのです。そこで、取り組んだ内容の成果を皆が容易に確認できるように見える化を行うことにしました。

 その結果、もっとこうした方が良いのでは、次はキャッチコピーを○○に変えてみようなどスタッフから次々とアイディアが出てきました。意識の問題ではなく、行動の成果が見えないことが、自発的なアイディアが生まれにくい原因だったのです。

 また、ある通販会社C社では、休眠顧客に手書きのお手紙を書く取り組みを行なってもらっていました。この施策に否定的なあるスタッフは当初は嫌々お手紙を書いていたのですが、お客様から直接『お手紙を頂いて嬉しくて購入のお電話をしました』という連絡が入り、そのことがきっかけでモチベーションが上がり、手紙もスムーズに書いてもらえるようになりました。

 始めは自らの意識で動いていなくても、行動することで、成功なり、失敗なり成果が出ます。その結果、上手く行けばさらに良い方向へ、失敗すれば、何故上手く行かなかったのか自然と考えるようになります。そのようなことを積み重ねていくうちに徐々に意識レベルまで変わっていくようになります。

 意識が変わるのを待つよりも、まず行動に移すことで意識が変わっていくものなのです。社員の成長について課題を抱えている企業は、「まず行動を」をキャッチフレーズにしてみてはいかがでしょうか?
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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