【週刊粧業2016年4月25日号6面にて掲載】
多くの化粧品通販会社が抱える課題の一つに、クロスセルがあります。
通販会社は、広告で新規顧客を獲得する際、さまざまな商品を案内せずに、自社で一番売れている商品に絞り込んだ広告で新規顧客の獲得を行っています。その後、顧客フォローの中でクロスセルを行い売上増大、顧客単価の引上の実現を目指していきます。しかし、なかなか上手くクロスセルの成果を出せていない企業も多くあります。
上手くいかない理由として、①案内する商品の優先順位が決まっていない、②商品案内の表現が弱い、③客層に合わない商品をやみくもに案内している等が挙げられます。そして、クロスセルへの過剰な期待がある企業が多く、平均的なクロスセル率が実現できていても、うまくいっていないと評価してしまう場合もあります。
一方、案内する商品の優先順位を決め、商品の必要性をしっかり伝えることで、クロスセルを上手く実現している企業もあります。
ある通販会社A社は、新規獲得時に購入した商品の次に購入してもらいたい商品の優先順位を決め、購入に至るまで継続して案内を行います。
何故、その商品を使ってもらいたいのか、購入することでさらに効果を引き出すことが出来る等を伝えて必要性の理解を深めることに成功しています。
通販会社B社は、クロスセル用のチラシを作る際、広告制作と同様にニーズを喚起するような表現作りを徹底して行っています。
単に商品の特徴を掲載したパンフレットを同梱する会社が多いのですが、顧客は既に他社商品を使っている可能性があり、そこから自社商品にスイッチをしてもらうには、相当の動機が必要であると考えているからです。
通販会社C社は、主力品より価格帯が高い商品をクロスセルで案内しているせいで、思うようにクロスセル率が上がらず苦労しています。
主力品の価格帯に合うお客様が集まっていますので、同価格帯や少し低い価格帯ではないとなかなかクロスセルに繋がりません。
クロスセルが上手くいかないと、その原因を商品にあると考え、次々と他の商品をやみくもに案内するケースを見かけます。特に、自社商品を使っている顧客だから、案内さえすれば何かしら購入してくれるだろうと安易な気持ちも少なからずあるのでしょう。
しかし、ニーズを喚起できない表現の弱さがクロスセルしない原因であったというケースもあります。
何故、その商品を使ってもらいたいのか説明が十分であるか、その説明はニーズを喚起できているのかという視点で一度クロスセルの施策を振り返ってみることをお勧め致します。