【週刊粧業2017年6月26日号4面にて掲載】
通販業界では、お客様との関係構築や売上アップを目的にお客様と直接触れ合うといった取り組みが増えています。
『モノ消費からコト消費』の時代ともいわれていますが、成熟した通販業界では、商品を届けることに加え、お客様との直接的な関わり合いをもつ取り組みの重要性が増々高まっています。
通販会社A社では、工場見学を毎日実施しており、月間400名程のお客様が訪れます。工場へ着くと、はじめに簡単な紹介映像が流れ、その後、担当するスタッフから商品、製造、品質へのこだわりについて丁寧に説明があります。そして、製造工程を見て回りながら、機械にばかり頼らず人の手をかけて手間暇かけているモノづくりの現場を直に見ることで、商品や企業への信頼につながり、既存のお客様のリピート率アップにとても役立っています。
また、こちらの見学は既存のお客様はもちろんのこと、一般のお客様も出来ますので、工場見学が新規顧客獲得の場にもなっています。自社のもっている経営資源を上手く活用した、地道なお客様との関係づくりがA社の強みとなっています。
通販会社B社は、化粧品に使われている自然素材を使ってアレンジしたお料理を提供するというイベントを開催しています。生産者、生産地を厳選した自然素材を化粧品に配合していることから、それらの素材を実際に味わってもらい、さらに、生産者とお客様とスタッフとのつながりを強めていくということを目的としています。
なかなか化粧品に使われている素材の生産者にお会いするということはないので、お客様にとっても貴重な体験となっているようで、参加されたお客様の満足度は高く、ファン化への有効な取り組みになっています。
通販会社C社は、お客様のお宅を訪問することを専門とするスタッフがおり、毎月どこかしらのお客様のお宅を訪問しています。商品の売り込みをするのではなく、商品の使用状況やお客様の悩みを聞き、解決策を提案することを目的としています。このような取り組みから、お客様の生の声を拾い上げ、サービス改善や商品づくりに役立てています。一見すると非効率な取り組みではありますが、お客様の生の声ほど、貴重な情報はなく、他社と異なる独自性構築につながっています。
通販会社D社は、お肌を健やかに保つためのスキンケアセミナーを開催しています。こちらのセミナーは大変人気で、告知をするとすぐに満員になるほどです。商品の売り込みを目的とせずに、正しい肌のお手入れを知ってもらうことで自身が持っている自然の力に気づいてもらうことと、自社の取り組みへの理解を深めてもらう場となっています。
化粧品通販業界は、競合も多く表現の規制などもあり、差別化が難しい業界です。
競合が少ない時期は、「広告が当てれば伸びる」または、「定期への誘導率が高ければ成功する」と考えられていましたが、今は総合力が重要になっています。いかに、自社の強みやこだわりによる他社との差別化を図り、そのことをお客様に知ってもらうことが重要です。
そのためにもこのようなお客様と直接触れ合う場を積極的に作ってみてはいかがでしょうか?