【週刊粧業2018年9月17日号11面にて掲載】
通販企業は、広告を使って新規を獲得する時に、クリエイティブのABテストを常に行っています。ABテストとは、ある一部の要素が異なる2つのクリエイティブを用意し、どちらのクリエイティブの方が、反応が良かったかを検証することです。テスト要素としては、キャッチコピー、ビジュアル、オファー価格などがあります。
通販企業A社は、リスティング広告を活用して新規を獲得しています。当初、初回特別価格2480円という価格で広告運用をしていたのですが、なかなか目標の成果を出せずいました。そこで、『価格を少し安くしてみたら、成果が変わるか否か』をテストしてみることにしました。
具体的には、2480円のAパターンと1980円のBパターンという形です。500円程度の金額差なため、広告の反応に大きな違いは出ないであろうと考えていたのですが、実際、1カ月ほど運用してみると、Bパターンの方が倍以上の反応がありました。
化粧品通販企業B社は、広告のクリエイティブテストとして、キャッチコピーや文章は同じで、キャッチコピーのそばにサブキャッチを入れたAパターンとサブキャッチを入れないBパターンでテストを行うことにしました。仮説としては、サブキャッチを入れたくらいでは大きな違いはないのではないか?と考えていました。しかし、結果には大きな差がありました。
結果論ではありますが、サブキャッチを入れた方が、その商品を使った後の理想的な姿を具体的にイメージしてもらうことができ、そのことが顧客に響いたのであろうと新たな仮説を立てることができました。
通販企業C社は、クリエイティブ内容、販売価格は変えず、支払い手数料有料(320円)のAパターンと、手数料無料のBパターンでテストを行いました。その結果、手数料無料の方が、2倍以上の反応がありました。ちょっとした価格の差にも消費者は敏感に反応することが伺えます。
これらの事例からお分かりいただける通り、広告は一つの要素を変えることで、反応に大きな差が出る可能性があるということです。今、使っているクリエイティブの反応が悪いからといって諦めず、キャッチコピー、オファー価格、ビジュアルを替えてみるABテストを地道に繰り返し行っていくことで目標の成果に近づいていきます。
また、他社が良かったというパターンが必ずしも自社にも良い成果が出るか分かりませんので、そのような情報を鵜呑みにせず、ABテストをして確かめてみるという姿勢を持つことが大切です。