【週刊粧業2018年10月15日号29面にて掲載】
リピート顧客が育成できているかを測る上で重要な指標として、購入回数別の顧客の移行率があります。
例えば、当該月に獲得した定期購入者の2回目移行率、3回目移行率、6回目移行率を順に見ていき、着実に伸びているようであれば顧客が定着しており、売上が安定して伸びていくことが期待できます。
しかし、回数別の移行率のどこかに問題があるような場合は、新規をどんなに効率よく獲得できても、思うように売上が伸びていきません。どこに問題があるかを早め早めに把握するためにも、移行率を確認してくことが必要となります。
商品の価格等の違いにより一概には言えませんが、定期購入者の2回目移行率の目安は70%~75%、2回目から3回目移行率は75%~80%を目指していきたい数字です。もし、定期購入者の2回目移行率の数字が目安と同じか、高い割には売上が伸びていないようであれば、強い価格オファーの提示や受注時に強引な定期誘導をしている、さらに2回目購入までのタイミングの時期が後ろにずれている可能性があります。
通販会社A社は、商品受注時にコールセンターによる定期案内に力を入れています。高い目標設定をしていることもあり、初回定期購入者の2回目移行率は大変高い数字となっていました。しかし、予想以上に売上が伸びて行かないことから、3回目、4回目移行率を確認してみると2回目に商品を受け取った後、かなりの人数の定期解約があることが分かりました。
一般的には購入回数が伸びていくに従い、移行率は高まっていきます。そこで、どこに課題があるかを調べていくうちに、コールセンターにてやや強引な定期案内をしていることがわかりました。
通販会社B社は、毎月の定期解約者数の改善に力を入れていました。さまざまな施策を行ってはいるものの思うような成果をあげることができないでいました。そこで、本当に解約者数が一般的な指標と比べて高いのかを調べるために、定期者の回数別移行率を調べてみると、2回目、3回目移行率ともに大変高い数字であることが分かりました。
解約者数という塊の数字に意識を奪われ、自社の良い点に気づくことができずにいました。B社程高いリピート率があれば、広告費を増やし新規獲得に専念していくことでさらなる売上アップを目指していくことができます。
分析で出てきた数字は結果であり、その数字を出すだけでは何も解決できません。出てきたた数字をもとに仮説を立て、施策を実行していくことが大切です。