第70回 数値意識の徹底

【週刊粧業2019年7月22日号4面にて掲載】

 経営者の方から、時々、社員の数値意識に関する相談を受けることがあります。数値意識のある社員は、主体性を持って業務に臨むため改善スピードが早く成果をあげていきます。

 しかし、数値意識が希薄な社員は、自身の仕事が会社の売上、利益にどのように関わっているかを理解できてなく、自発的な改善案が出てこないというのです。

 このような課題を抱える企業の共通点として、決まった社員だけが数値に触れ、他の社員は、普段から、数値に触れる機会が少ないということ、社員に明確な数値目標を与えていないということが挙げられます。

 そのため、全社員が数値に触れる機会を増やし、さらに明確な目標を社員に与えることが大切です。

 通販会社A社は、受電時に季節ごとのおすすめ商品を案内することに力を入れています。以前までは、案内した結果いくらの売上につながったかなどを明確にオペレーターに共有していませんでした。

 そこで、数値意識を持って取り組んでもらおうと、オペレーターに受注割合やいくら売れたかを共有していくことにしました。その結果、数値への意識が少しずつ芽生えていき、オペレーターから『こんな商品を案内した方が良いのでは』という声が自発的にあがるようになって行きました。

 明確な目標を与え、その結果を共有することで、数値への意識を高めるだけではなく、どの商品をお客様に提案していくことが良いかなど企画までを考えるという好循環ができ、良い成果へとつながっています。

 通販会社B社は、社員の数値意識を上げるために、週1で目標達成率などの共有を行っています。その際、数値を伝える担当者を当番制にすることで、必ず全社員が数値に触れる機会を作ることとしました。多くは、数値を出す担当者は決まっていて、残りの社員は、その数値を見るだけというものです。

 しかし、これだけでは、数値に対する理解を深めることにはつながりません。人に共有するためには、自身がひとつひとつの数字の意味を深く理解する必要があります。そのためには、自発的な行動に任せるだけではなく、仕組みとして取り入れていくことで、浸透度を高めていくことができます。

 このような仕組みを取り入れてからは、自然と『今の目標達成率は○○%だ』というような会話が随所で見られるようになり、数値に対する意識を高めていくことができました。

 社員の数値意識に関する課題を抱えている場合は、明確な目標と結果の共有、さらに社員が数値に触れる仕組みを取り入れてはいかがでしょうか?
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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