第18回 1名あたりの新規顧客獲得コストを考える

【週刊粧業2016年2月29日号16面にて掲載】

 現在多くの化粧品ブランドが売場に並んでいますが、そんな中で、どうすれば「新規顧客」を多く獲得できるか。そんなご相談も弊社で多い案件の一つです。

 国内化粧品市場の大半を占めるといわれる「認知率3割以下」のブランドは、概ね「新規顧客獲得」にも課題を持っていますが、他社優位性も高く個性的で魅力的な商材でありながら、販路政策に苦労され、今一つ魅力が最大限多くの人に伝わり切れてきれていないケースも少なくありません。

 大企業は例外として、中小規模の資本力のブランドでは販路政策予算や広告宣伝費も限られています。そんな折に、一部のブランドでまず顧客の目に触れること=認知度アップを優先し、広告予算に一定量の予算を割く場合もあるようです。

 今のように優れたコスメブランドが数多存在し、顧客接点チャネルも多いという消費者にとって選択が困難な時代に、ブランドを理解し購入してもらうというステージに行き着くには、ある程度の露出回数が求められ、予算が限られているブランドにとっては負担コストも相当なものかと想定できます。そんな企業には弊社も短期間かつダイレクトに顧客接点を設ける販促に優先して予算を充てるようご提案しています。

 先日もある百貨店にも導入されているブランドの新規顧客の店頭集客を弊社でお手伝いしましたが、新規顧客のうち、その「ブランドを知っている」という認知率は約3割でした(20代~50代の一般女性約1000名を対象)。

 百貨店導入のブランドにしては、意外に低い認知率だなというのが率直な感想で、正直なところ効果的な集客に結びつくかなという不安もありました。が、蓋を開けてみると、実際に店頭に足を運んだ7割以上の人からは「美容部員の上品な接客が嬉しかった」「知らないブランドで不安だったが、丁寧なカウンセリングが説得力あり思わず買った」など好意的なコメントが寄せられました。

 勿論、約3割の人は逆の感想の方も確かにいますが、新規顧客にとってはブランドの情報量が少なく期待値が低い分、満足度への振り幅も大きく、理解浸透の余地を残しているともいえます。ブランドにとっても、短期間に強みを知らせ、じかにお客様の反応を得られることでの気づきと収穫は少なくなかったのではないでしょうか。

 多くの化粧品ブランドが存在する中、消費者には「誰もが知っているメジャーではない自分だけのお気に入りを持ちたい」という『マイブランド』へのニーズも高まっています。

 このように独自のフィロソフィーや優位性を持ち、かつ認知率の高くないブランドは、顧客との直接的な接点の場を作り続けることで多くの可能性を秘めているといえるのではないでしょうか。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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