【週刊粧業2016年7月25日号14面にて掲載】
先日、40~60代のいわゆる「大人世代」の女性を対象に、「美容と生活習慣」に関するアンケート、ヒアリングインタビュー調査を行いました。毎年行っている調査および解析ですが、食生活への関心が年々高まりその内容も益々レベルアップしている印象です。
「若々しくいるために必要なことは?」と尋ねたところ、質の良い睡眠、食事に配慮すると答えた人が最も多く、約6割を占めました。適度な運動を心掛ける人も4割以上いました。また、年代が高くなるほど、身体面だけでなく趣味や習い事、勉強など向学心を持つ事で心の充足を図る傾向がみられました。
その他、ファッションセンスを磨いたり、普段からスキンケアやボディケアを心がけたり見た目も配慮する人も増えています。このように、日頃の生活習慣を通じて、外面、内面、精神面の全体をケアし、若さや健康の維持につなげていくトータルバランス型が主流になりつつあります。
中でもとりわけ昨今目立って高まっているのが「食生活」に関する意識と知識です。最近のメディア等の影響もありますが、酵素・水素への関心、良い油、悪い油、高GI値の食材……など、かつては美容関心層の一部が使っていたような専門用語を一般の人が当たり前のように使うようになりつつあります。
また、かつての食生活の健康トレンドは「〇〇を食べると血液がサラサラ」「〇〇が肌に良い」といった「摂取」することにポイントがありました。
しかし今は、食品添加物や加工品を常に口にする時代なので、いかにそうした毒素を排出するか? といった「排出・解毒」の視点が加わってきつつあります。解毒、排出を促す行為として、大人世代だけでなく若年層にもファスティングがトレンドとなっているのもその流れから来ていると考えられます。
その美容・健康志向に伴い、知識取得を目的とした食に関する資格や講座の種類や受講人数も大人世代を対象に増加傾向にあります。
このように、大人世代のインナー志向の高まりの背景には、平均寿命が延びる一方で、死ぬまで元気でいられるか? 寝たきりになるのでは? といった老いへの不安感がもたらしている事も要因に挙げられます。
目指すのは、死ぬ直前まで周囲に迷惑をかけず、現役に近い自分自身。だからこそ、老化に対して抗うのではなく、老化をいかにスローダウンさせるか? 若返り、アンチエイジングではなく予防する観点にシフトしつつあります。
その過程や延長線上に「若々しくいる」すなわち「美容」という概念があり、それが「楽しみ」でもある。健康が美容に直結することを身を持って実感する世代こその美容観ともいえるのでしょう。