【週刊粧業2016年8月29日号6面にて掲載】
先日、あるインナービューティーの企業が主催する美容イベントに弊社の会員でもある「美容に関心が高く、イベント参加に旺盛」な一般ユーザーに参加していただきました。
全参加者は200名程度ですが、そのうち弊社の会員メンバー5名を招待しました。この招待にあたり、弊社から募集をかけたのですが、自社の事前サイトのみの告知で特に広告を仕掛けたわけでもないのに、5名の枠に対し、500名を超えるメンバーが応募してくれました。
イベントは、著名タレントのトークショー、景品が当たるクイズ大会など一般的にも楽しめる内容もありましたが、主催企業の商品ブースやカウンセリングや商品のレクチャーなど、企業のプロモーション色も濃かったのも事実です。
それにも関わらず、200名以上の参加者たちは、写真を撮ったり、熱心にカウンセリングを受けたりしていたのが印象的でした。主催企業の方も「正直言ってここまで商品自体に関心を持っていただくとは意外でした」と驚いていました。
弊社が招待した会員メンバーは、事前にイベント参加への想いや意気込みを熱心に伝えてくれた方を優先して選ばせていただいた『美容感度の高いインスタグラマー』。
イベントの様子、自身が体感したカウンセリングなどを写真に撮り、インスタにその場でこまめにアップする人、商品を友人に薦めたい、と商品資料を請求してくれる人もいました。
それぞれに志向は異なるものの、共通しているのは「自分だけが味わえる体験」に特別感を持っていること。そしてその「特別体験」に共感したなら、フォロワーに口コミをしてまた広めてくれる、という流れがあります。
SNSを通じて、「こんな素敵な体験をしている!」という自身の承認欲求とともに、口コミという拡散欲求を満たすのが現在のデジタルインフルエンサーの姿なのでしょう。
従って、美容やコスメといった体験をしないとわからない分野において重要なのは「リアルな体感」の場をセットすること。消費者が身を持って体験することなのです。美容・ITの感度の高いユーザーならば、魅力的なコンテンツを「特別感」を持って同じ美容関心層に広めてくれるのです。
SNSの台頭により、メディア化した個人の影響力を無視できない現在。前衛的に優れたデジタルPR手法を行っているブランドも目にしますが、ネット上、SNS上のみの拡散数など量的な側面を追い求めている様子もうかがえます。
消費者を自社ブランドのファンおよび顧客に育てていく質的な施策をするには、手間をかけてでも「リアルな体感の場」の創出は、SNS台頭時代にこそ、有効で不可欠なものと考えます。