第26回 飽和状態のインナービューティ市場で問われるPRの重要性

【週刊粧業2016年10月31日号12面にて掲載】

 年々拡大を遂げ、一大カテゴリに成長したインナービューティ市場ですが、かつては60代以上のシニア層向けの商品も多かったものの、ここ数年は、40、50代はもちろん20~30代など購入の年齢層も下がりすそ野が広がりつつあります。

 弊社の調査でも、インナービューティ商材の購入目的として50~60代は、「いつまでも若々しくいたい」「健康寿命を少しでも延ばす」といった声が多く聞かれるのに比べ、30~40代は「ダイエット」「体質改善」といった目的が多いようです。中でも「酵素」「乳酸菌」「水素」といったキーワードが弊社が行う座談会調査でも頻繁に聞かれます。

 インナービューティ市場は活況でありながらも、多くの企業が参入し、数多の各社商品が市場に存在する中で、激戦市場、飽和状態になりつつあるのも事実です。商材の差別優位性が問われるのはもちろん、販路施策、そしてPR手法も近年益々、重要になってきています。

 消費者がインナービューティに求めるポイントも氾濫する情報や商品の中から「結局、信用できるモノ、メーカーはどこか?」という声は年々増えてきています。「一見良さそうなキャッチコピーや宣伝文句も今一つ信用できない」といった声も聴かれるように、眉唾的な商材には敏感な消費者にとって、「信用ができる」か否かは大きな差別優位点といえます。

 インナービューティが好調な販路の一つであるエステサロンは、じかに顧客にカウンセリングできる強みを生かし、商材の説明だけでなく、腸や体内環境など一般知識の勉強会等、顧客との信用構築の場を設けることで優位性を図っている店舗や企業も増えています。

 顧客とのリアルな接点機会は、サロン販路ならではの優位要素の一つですが、勉強会開催時および事後のPRも重要で顧客の「口コミ」も大きな広報ポイントです。

 参加した顧客が「本当に勉強になった」と満足感を得られる本質的な部分の完成度はもちろんですが、参加した自分しか得られなかった特別体験やフォトジェニックな空間の演出など、SNSで写真や記事を「投稿」「拡散」したくなるような構成も有効かと思います。

 同時に、インナービューティー市場の高まりとともに、関連講座や資格取得ビジネスも活況です。今後は、エステのように施術や資格、機械の導入を伴わず、専門知識をベースに食生活のカウンセリングを行う「インナービューティサロン」も増えてくると思われます。

そんな環境で、より差別化を行っていくには「人が人を呼ぶ」要素の強いインナービューティ分野だからこそ、リアルな場を活かした顧客の囲い込みに注力するPRが成否を握るといっても過言ではないでしょう。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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