【週刊粧業2017年10月30日号6面にて掲載】
弊社の会員制美活プラットフォーム「コスメラウンジ」の立ち上げからまもなく1年が経ちます。一般の美容・コスメ関心層の会員向けに、「コスメ体感会」、「店頭送客」「サンプリング」など、これまで数々の企画を行ってきましたが、一般消費者とのリアルな接点を設けたことで見えてきたことがあります。
まず、同じコスメ関心層でも、「情報発信層」と「顧客予備軍」という全く別の属性が存在することです。SNSが発達した現代において、前者(発信層)は、自身が情報を発信すること自体がイベント参加の主な目的となり、商品やブランドへの本質的な関心や購入への動きがうかがえないケースも少なくありません。
昨今、取り沙汰されている「インスタ映え」目的のイベントへの参加も、この発信層に非常に絡んでくる要素です。
一方で、後者の「顧客予備軍」は、「企画」を通じてブランドや商品を知り、関心を示したり実際に購入する層で、「情報発信層」とはイベント参加後のアクションに大きな違いが出てきているのが顕著な点として挙げられます。
実際にこの「顧客予備軍層」とされる人々を対象にグループインタビューで意見を聞いたところ、「ブランドの知名度にかかわらず、試せる機会さえ設けてもらえれば、よいものであれば購入したくなる」という意見が大半でした。
その上で、「自分が使ってよいものは、やはり友人には話したいし教えたい」という口コミ意欲も高いことがわかりました。また、SNSを利用するものの、主に情報収集に活用するので、「フォロアーの獲得や数にはこだわらない」というインスタグラマーが比較的多いのも、この「顧客予備軍層」の特徴です。
この「顧客予備軍層」に注目し、今一度、自社ブランドのファン層の掘り起こしや顧客を育成するマーケティングに力を入れるブランドも増えてきたように思います。
特に最近ブランド側から「多くの情報リーチ数を求めてインスタグラマーのフォロアー数にこだわったが、ブランドがイメージしているターゲット層とは違う層と接点を持ってしまい、明らかに購入している動きはない」というミスマッチングが起きているケースもあるようです。
細かい属性までは把握することのできにくいテレビや雑誌などのマス媒体の視聴者、読者と異なり、SNSというメディアはユーザーの属性やその後のユーザーのアクションまで把握できるのも特徴です。効果測定もシビアになってきた分、ストライクゾーンの「正解」が出にくくなってきている傾向も感じます。
SNSマーケティングも端境期に来ている現在、本当の顧客やファンを育成するためにも、本質を見抜いていきたいところです。