【週刊粧業2018年8月27日号15面にて掲載】
夏も終わろうとする中、化粧品業界では現在、秋冬の新製品に関する発表会やリリース配信が行われています。
最近、化粧品企業からの相談やお問合せで増えてきているのが、「新製品の発表会を行いたいが、予算や運営ノウハウが乏しい」というもの。
ブランドや製品の開発背景にストーリーがあり、開発者自身もしくはそれに近い人が開発意図をしっかりと伝えられることが確実な場合には、メディア向け、インフルエンサー(一般消費者)向けと、小規模なセミナー形式の商品(ブランド)勉強会・ワークショップを提案しています。
例えば会場は企業様の自社会議室を使用し、招致方法もメール配信にする等、コストは最低限に抑え、1回あたり10名程度を招致するミニセミナーといった形式です。ホテルのバンケットルームやイベントスペースに比べたら、確かに華やかさには欠けますが、小規模、少人数ならではのメリットが生まれてくることも事実です。
まず、場所やスペースの華やかさで勝負しない分、そのブランドに本質的に関心のある参加者が集まること。メディア関係者や美容有識者招致の場合は、主催者側との距離が縮まるので、質疑応答や意見交換が活発化し、ブランドへの理解度が高まること。
インフルエンサー(一般消費者)向けの場合は、少人数ゆえに目が届きやすく、招待された側としては、もてなし感や特別感が増し、ファンになりやすいこと。実際、ブランドに興味を抱いた参加者がセミナーやワークショップ開催後に、店舗に足を運ぶというケースを幾度となく見てきました。
顧客にもなりうるインフルエンサーにとって、「売場でない空間で丁寧にケアされること」が重要なポイントになります。
少人数・小規模セミナーは、1回あたりの接点が少ないゆえに、回数を重ねた開催が必要となってきますが、定期的に回を繰り返すごとに、確実に相乗効果的に認知度、理解度、浸透力が上がってきているブランドの事例は少なくありません。
華やかな形式の発表会を開催したほうがもちろん、メディア関係者にもインパクトがあり、認知されやすいことは確かで、大規模スタイルの発表会を検討することのメリットも大きいですが、まだその効果を測り切れない、イメージができないという場面ではこうした小規模な形式もリスクが少なくお勧めできる方法です。
広報活動はとにかく、企業や担当者が経験値を高めていくことが認知度向上への近道です。コストを抑えながら徐々に機会を重ね、質と量を高めていくことが、費用対効果を高めることにもつながっていきます。
リアルな場面で接点さえ設ければ、何かしら人は感じ、動くものです。